番外編3: 価値が出るまでとりあえず買っておきます これは一部で国沢氏が「バイク業界を追われた」きっかけとされる(あくまで、「とされる」である)事件であるが、見方によっては国沢氏の主張の一貫性(?)が証明されるかもしれない事象でもある。 国沢氏は大学中退後、ベストカーガイド誌の編集をやっていたが、途中から姉妹紙のベストバイク誌に移った。そしてまたベストカーに戻ってくることとなったのだが、その少し前にあったミスターバイク誌での読者との論争である。 |
ミスターバイク誌 1988年10月号120Pより 国沢光宏へもの申す。あんたの書いた「中古バイク購入データブック」 読ませて貰ったよ。あんた、2st大排気量車をあれだけコケにして、 ただで済むと思うなよ。 |
これに対する返答が翌月同誌に載った。 |
ミスターバイク誌 1988年11月号112Pより 前略、I.H殿
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国沢氏の返事(特に赤文字部分)は明らかに厭味である。 まあ著書をボロカスに貶されたのであるから、何か言いたい気持ちも分からないではないのだが、それにしても言いようというものがあるだろうと思わずにはいられない。 ちなみに、NS400RとRZV500の当時の新車価格は以下のようなものであった。 NS400R: 1985年当時 新車価格629,000円 RZV500: 1984年当時 新車価格825,000円 さてこの国沢氏の回答で、更に反響があった。 |
ミスターバイク誌 1988年12月号120Pより 国沢光宏さん、I氏の意見に対する貴方の反論を読みました。まず、自分の好みやメーカーの損得などを評価に加味しないという姿勢は、その本の巻頭にて、あらかじめ言っておくべきです。 東京都C市 K.M
10月号のI君の意見に、自分も些か賛同出来ます。自分は「中古バイク購入データブック」という書物に目を通しておりませんので、それについての批評は付け加えませんがI君が憤りを感じるように、メーカーの技術者達が苦心して、またワークスレーサーが命がけでのレース参戦から得たノウハウを、MCという形にしたいわば努力の結晶を“おもちゃ”とか、その他のあまり好意的とはとれない表現を寸評として載せるのは、度が過ぎているように思います。 京都府K市 S.K これら一連の騒動に対する近藤編集長のコメント |
これらの読者の意見を国沢氏がどう受け取ったかは、その後の国沢氏を見て判断するしかないのだが、筆者の意見は敢えて述べないでおく。 さてそれから時はたって2002年。国沢氏の日記より。 |
2002年 9月15日 今日も400字詰め原稿用紙にして15枚ほどの予定。加えて家の改修をしなければならないため(いろんな場所にガタが出てきた)、仕事部屋 の整理もしなくちゃならぬ。幸い連休で愛知から南君が遊びに来がてら手伝ってくれると言う。半年もするとカタログで部屋は溢れかえってしまうのだ。永 田君(レガちゃん)も手伝いに来てくれ、二人で一日がかりのお片付け。久々にRZV500を移動させたのだが、こら「果たしてエンジン掛かるのか?」の世界。走行距離1200kmくらいなれど、12年間エンジン回していない。OHしてからじゃないと掛からないだろうなぁ。YPVS(可変バルブタイミング)とかの部品、あるのだろうか。一度エンジン掛かるようにして、再び休眠させようかと思う。ムスメが無事帰宅。やれやれ。 (kunisawa.netより引用) |
本当に「とりあえず買っておいて価値が出るまで20年寝かせる」つもりのようだ。 果たして12年もエンジンをかけていない、というのは真のバイク好きなのかどうか、ここは考察すべきところではないのだが、とにかく15年も前の自己の考えを、その通りに実行している点だけは恐れ入ったとしか言いようがない。素直に脱帽である。 いま埼玉県のI.H氏が彼の日記を見たら、どのような感想を持つのだろうか。そしてI.H氏はいま何に乗っているのだろうか。 余談だが、筆者は昔SRX400に乗っていたが、はっきり言って完全に持て余していて、タイヤはほとんど真中しか減っていなかったという体たらくである。ということで2stビッグバイクがどうこうという議論をできるほどの腕はないのは自覚している。 でもやはり当時「SRX400は失敗作だ。SR500でなければ価値がない」とか書かれたらムカッときただろうな、とは思う。 (2003.03.30) |
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