7−1 質より量 −載せなければよかった写真− | |||||
筆者は、あるひょんなことでざざむしというページの存在を知った。 一見、ゲテモノ食いのページであるし、作者はふざけているようにも見える。 しかしよく読んでいくと、作者は別にふざけているわけではないことが分かる。 文体はふざけてはいるが、内容はあらゆる食材への挑戦以外のなにものでもなく、 「へー」と納得するものも多い。 いかに文章や話題がふざけていようが、その人の考えというものは自然とそのページに現れてくるものである。では逆に、わざとふざけたことを書いたつもりが、その人の別の面が現れてしまうようなことはあるのだろうか? ●パンケーキが小さい 国沢氏は、日曜の朝は家族で外食をする習慣があるようだ。 まあ、これは常日頃朝食を準備してくれている細君へのねぎらいや、一家だんらんを兼ねているものと思われるので、結構なことである。 だが、彼の日記で描かれる朝の風景の一場面となるべきファミリーレストランは、そのようなほほえましい光景の演出場所として登場したのではなかったのだ。 |
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最初の日記だけを見れば「単なるオヤジのグチ」程度にしか見えない。 しかし、同じ店に対する評価が執拗に続くと、さすがに「おや?」という感覚になってくるだろう。 おまけに、店員が少ない状態に来店して「わくわく!」などと、やじ馬根性丸だしの感覚になって、店員の困惑を面白がっている。このような考えは、彼の日記を見る者の何人かを不快な気持ちにさせることは間違いないところであろう。 そして極め付けが、朝食セットのパンケーキの大きさに文句をつけ、それどころか写真を撮って(メジャーを添えるという徹底ぶりである)衆目にさらしてしまったのである。 この時、国沢氏は既に40歳過ぎである。いい年をしたオッサンがデニーズでパンケーキにメジャーをあててデジカメで撮影している姿を想像したら、滑稽以外のなにものでもなく、当然2ちゃんねるでは大いに叩かれることになってしまったのだが、まだこの時点では「まったく、しょうがないおっさんだな」という笑いながら呆れたような感覚での批判が多かったのではないかと思う。 しかし、彼のこのような行為はこれだけではなかった。 |
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改めて書いておくが、このサラダはサラダ単体メニューではなく、ランチセットのサラダ、つまり、オマケである。 筆者は以前、パスタセットを頼んだらサラダにペンネサラダ(しかも7〜8本)が出て来たことがあるが、「おいおい」と思いはしたが、まあオマケだからとあきらめた。 それに比べれば立派すぎるサラダではないか。 しかも分解してまで写真にするほどのものなのであろうか? このような「量が少ないぞ」という訴えの写真は、先のパンケーキの撮影1度であれば人々の記憶から薄れていったはずである。しかし、いかに回りからあおられたとはいえ、似た事を2度やれば、真正かと疑われてもしかたがない。 更に、彼はこんなものにまで量への執念を現わしたのである。 |
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筆者個人としては、スキー場のレストハウスのまずいコーヒーごときで量への執念を見せたくはないのだが(しかも煮詰まっているものなど香りも飛んでいよう)、国沢氏はどうも違うようである。 ● ただのいやしんぼ 「ある量を超えると質に転ずる」 これは故・開高健氏がよく言っていた言葉であるらしい。彼の世界を股にかけた釣行記(オーパ!等)では驚くほどの食に対する貪欲さが発揮されているが、彼の文章から「いやしさ」はまるで感じない。それどころか、さわやかさが漂っている。それは多分に開高氏の筆力によるものもあろうが、何より彼の姿勢によるところが大きいのではあるまいか。なにしろ、彼の釣行に同行した辻調理士専門学校の谷口氏によると、彼は隠し味などもドンピシャと当ててしまうほどの味覚の持ち主で、たとえ僻地でも手抜きなどはとてもできなかったという。だが果敢に挑戦した料理が失敗しても(チョウザメとかターポンとか)、谷口氏を責めるようなことはなかったようである。 そして上記の台詞について、谷口氏は「同じ食べ物でも、少し食べてみた場合と大量に食べた場合では味が違ってくるという意味ではないか」というような推測をしている。 では国沢氏はどうかといえば、筆力があれば読者が抱く軽い不快感は多少軽減されるのであろうが、彼の日記から読者が連想する彼の本性は、恐らく「いやしんぼ」 であろう。 彼はとにかく「価格に比した食物の量」にこだわっている。オムレツに関しては「最も美味しかった時の1/3の大きさ」という発言がある。 オムレツは大きいほど美味しいという定説があるのであれば別だが、これでは「美味しさ=量の多さ」と国沢氏は考えているかのように疑われかねない。 更にパンケーキでも、一度注文して小さいのが分かっていたのであれば次から頼まなければよいのに、それが意図したものであれどもあまりにしつこく話題にしているため、「たかがモーニングセットのパンケーキに文句を言ういやしい奴」という印象が強くなってしまう。 パスタセットのサラダについても、コーヒーについても、足りなければ追加注文すればよいだけのことを、自分が考えている以上のコスト負担が嫌なばかりにケチをつけているだけのように見えるのである。 考えを変えれば、これは「ケチ」と見るべきかもしれないが、純然たるケチは、頭を使うし努力もし、かつケチぶりを(ある意味で)楽しんでいる。何より注文したものが少ないと文句を言う以前のメニューを決める段階でケチぶりが発揮される(例えば、筆者であればスキー場のレストハウスのコーヒーの量にこだわるくらいなら最初から缶コーヒーですませる)。 しかし彼の場合、自分が注文したものの量に後から文句をつけているわけであるから、 単なるいやしんぼオヤジの愚痴にしか見えなくなってしまうのである。 ● 写真を掲載する危険性 国沢氏のこの件でのミスは写真を掲載してしまったことであろう。写真は確かに視覚的に強烈に訴えかけてきてインパクトがある。国沢氏も楽しさの演出としてそれを狙ったのであろうが、その内容が読者にとって非好意的なものであった場合、その強烈な効果はそっくり負の方向へ働いてしまう。 パンケーキの写真などまさにそれで、「この人は何が言いたいんだ。クレーマーじゃないのか?」と思われかねない。 更にやってしまったのが、2004年初頭の韓国訪問記である。 |
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この日記の文章の内容から考えて、写真を効果的に使うのであれば、韓定食の量と美味しさを補完するために使うべきである。量の場合は、皿が並んだテーブルの写真か、それに加えて被写体となる人物が手を広げたポーズをとっていればよい。
美味しさを表現するには、喜色満面の笑顔が基本であろう。
しかし、 同じような内容を示す写真を2枚も貼る必要があるのだろうか?量の多さを示すだけの意味しかないような、テーブル全景の写真(2枚目も人間はオマケにしか見えない)が2枚もあるようでは、はっきり言ってくどい。反面、美味しさを伝えるような記述が希薄で、「多い!」「安い!」ばかり強調しているのだから、先のパンケーキ等の件も合せると「本当にアンタは量にしか価値を認めないんだな」と読者にうけとめられかねない。 結局のところ、ここで掲載すべきだったのは、せめてどちらか一方の写真だけにすべきだったのではあるまいか。 ● まだある失敗 実はこれだけではない。本業のほうでも国沢氏は写真で失敗している。 彼のページのプリウスの記事の中で、真中あたりにテストコースでの撮影という注釈のついた写真があるが、これはどう見ても公道であろう。エスケープゾーンもまるでないし、コース脇は雑草がボウボウ、路肩を示す線も見えるし、側溝まである。プリウスにはナンバープレートもついていて、ドライバーはヘルメットを被っていない。この条件でのクローズされたテストコースがあるのなら見てみたいものと思えるほどである。 このような詭弁を読んだ一部の読者の方は強烈な不快感を抱くことになる。 しかもこの写真はカウンターをあてている状態と思われので、プリウスが優れた運動性能を持つことを示したいのであろうが、この写真は肝心のスピード感がまるでないため、その目的は十分達成できない。これでは写真を掲載しない方がマシである。 ● 写真の使い方は考えるべき 従来からのパソコン通信とWEBの大きな違いの1つが、絵や写真を使えるかどうかであることは論ずるまでもない。しかし、あまり考えずに写真をペタペタ貼ると、ページ自体がうざくなるばかりか、このように作成者の意図とは違った形の印象を読者に与えてしまうことになる。 それを避けるためには、その写真を使う明確な目的があり、それに完璧に合った写真を適切な枚数だけ選択する、ということを考えるしかないのであろう。 上記のパンケーキ等の話題の場合、その量へのこだわりを考えると、まあ恐らく半分以上ふざけているのであろうから、もっとふざけていることを強調したような写真であればよかったのである。 例えば こういう写真(最下段左下)のように。 (「ふうのページへようこそ」の缶詰オフにてシュールに挑む国沢氏) |
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追記: ある日の国沢氏のご令嬢の日記にて、彼はこうも書かれてしまっている。 |
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2004年1月21日 (略) 先ほどチッチーに「あたしパン焼くから!」と宣言したら 「美味しくないパン?固いパン?何も中に入ってないパン?おれはバター70%のしか食べない」 だって。だから太るんだロ!!とは、良い子のあたしは言いませんでしたが やっぱりパンはハードでしょぅ! 2004年3月16日 (略) 帰りがけ、狙っていた女子大通りにある「ムッシュソレイユ」というパン屋さんに行く。 小さなスペースに可愛らしい好みのパン達が並んでる。 パン好き人のサイトで、時々名のあがる 有名ベーカリー。 果たして果たして、お値段も手頃。やっほい。 フィグのパンとプチバゲットを買って帰宅。 うはは〜、と プリンスオブウェールズを淹れ、(濃い紅茶葉で個人的に一番スキ)ソーダブレッドと ムッシュソレイユのパンを味見ぃ。 父と母と父の弟子さんとの4人でティタイム。 …前述通り、ソーダブレッドよりも、スコーンの方が数倍ウマイ。 がしかし、ヤハリ件のパン屋さんのパンは美味かった…。 少し味見し、残りは明日の朝食用&冷凍保存。 冷凍保存が一番、美味しくパンをキープする方法なのだ。 外で どでーん、ふはははは、としている父であるが、食に関しては 結構イケテいない舌をお持ちなので、 バターのたぁっぷり入ったパンとか、あまぁいお菓子とかしか食べられないヒト。(笑 そして、「これ高かったのぉ」と、母と企んで食卓に上らせれば 例えそのものが安物であっても「ぅマいッ!!」と 言ってくれる、実に楽チンでお幸せな方なのです。 ん、食に関して 勿論好みは千差万別だけど、ゼッタイ美味しいパンはそのままでも美味しいのになぁ。 バゲットなんて美味しい訳ないっ、と言い張る父の舌を巻かせるにはフランスで焼きたてを食べさせるしかないか…。 (空は、遠く、夢映す。アタシは未だ、土の中より引用) |
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引用はしてはいないが、ご令嬢は同日記でポンパドウルやVIRONのブレッドが美味である、と述べている。幸い、筆者の妻もブレッド好きであるので筆者もこの2店のブレッドを食べたことはあるのだが、確かに美味で、バターなど塗る必要がない(時間が経つとさすがにそうもいかないが)。 ・・・まあ、国沢氏の「美味」の評価基準がよく分かるエピソードの1つであろう。 |
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