● 支援依頼
このように徹底的なまでに叩かれる中、国沢氏にとっては「待ってました」と渡りに船のようなメールがkunisawa.netにもたらされた。それは東京在住のジャーナリストの方からだったのだが、長岡市長からの直接の要請で、という内容であった。以下に引用する。 |
|||||||||||||||||||||
2004年10月29日 TOP 新潟の件でお手伝いの依頼を受けました。以下、頂いた内容です。 現在は東京在住ですが、両親はいまも長岡に住んでいます。昨日と一昨日、 長岡を見舞ってきました。 僕も両親とひと晩、避難所で過ごしました。高校の先輩でもある、 森・長岡市長と面談し「いま本当に必要な助力は何か」を尋ねたところ「車持参で来てくれる運搬ボランティア」と「避難所で煮炊きをしてくれるアウトドアが得意なボランティア」がありがたい、 との回答でした。 幸い、物資は全国から寄せられているのですが、市役所からそれを各避難所に運ぶ車と人が不足しています。多くの避難所では冷たいおにぎりとパンだけが支給され、精神的にもふさぎこんでしまいがちです。温かなお汁が一杯あるだけで、ずいぶん違うだろうと僕も実感しました。もし、国沢さんから仲間の皆さんに声をかけて頂けたら幸いです。 ボランティアの受付は、 『長岡市災害ボランティアセンター』が窓口になっています。この件は市長から直接受けた依頼ですので、まだサイト上で具体的な募集はされていません。しかし、いま彼らがもっとも必要としている支援です。どうぞよろしくお願いします。週末だけでもありがたいと思います 現在六日町側から長岡まで地元に迷惑を掛けずに行けるかどうか確認中です。逆にこの週末、新潟側から長岡にアプローチ出来る方がいらっしゃったら、ぜひともボランティアセンターに行き「物資を運ぶお手伝いに来ました」と申し出てください。現在一般のボランティアは募集を休止していますが、前述の通りこの件は長岡市長からのダイレクトな依頼です。当然ながら、足代、ガソリン代、 宿泊、食べ物は自前でお願いします。復興のお手伝いは長いスパンで考えようと思っています。 (この件、スポーツライターの”XXXX”さんからの依頼です) ※リンク:http://www.xxxxx.co.jp/ (kunisawa.netより引用) |
|||||||||||||||||||||
これをもって国沢氏はいよいよ現地へのボランティア入り計画を加速させることになる。これに対し、2ちゃんねるでは当然「このメールはヤラセじゃないのか」などの否定意見がまきおこった。
しかし、このメール自体は確かに真実であったようだ。ただしその内容の詳細については、このジャーナリストの方と国沢氏では微妙な温度差が存在した。 以下は、このジャーナリストの方が、ある1名の黄昏野郎の問い合わせに対して回答したメイルの抜粋である。非常に丁重な内容であり、本当に震災被害者のことを考えての呼びかけであったことがお分かりになるかと思う。 |
|||||||||||||||||||||
(略) お訊ねの件、私が国沢さんにお願いしたものに間違いありません。 地元(長岡)出身で、メディアの世界で仕事をしている私が、地元が最も必要としていることは何かを発信することで 少しでも被災地・被災者の方々のお役に立ちたい、とお訊ねしたとき、掲載された通りの回答を頂きました。 正確に言えば、「市長からの依頼」というより、「市長のお話を受けて私が自発的に発信した皆さんへのお願い」です。 運搬ボランティアの件は、ご指摘のとおり、できるだけ長岡に近い方々が土地勘もありスムーズだろうと判断し、地元の頼れる友人に呼びかけを頼みました。 (略) しかし、仲間の多くはいずれも被災者であり、彼らのネットワークだけで必要な台数を手配するのは難しそうな感触でしたので、他に協力を求められる方を探し、国沢さんにお願いをしました。 (略) 国沢さんとは電話でお話しをさせて頂き、国沢さんのサイトをご覧になる方の多くが運転に関してはエキスパートであること、ボランティアに行って逆に足手まといになったり被災地に迷惑をかけないわきまえや経験があるとの確認をした上で、呼びかけをお願いしました。 もちろん、サイトは不特定多数が見るものです。が、上記の配慮をしたこと、私自身が両親と避難所で一夜を過ごし、速やかな対応の必要を実感したため、このような発信をしました。その点をどうぞご理解頂けたら幸いです。 長岡市側では、そういった方の受け入れについて対策を想定済みなのでしょうか? 呼びかけをさせて頂いたこと、国沢さんに協力を依頼したことはファックスで報告済みです。 (略) 『現在のボランティアの活動は、避難所の支援がメインになっております。』という記述もある通り、避難所に向けた運搬や炊き出しの手伝いが求められているのは事実です。 道路事情を見るに、地元の道に不案内な方をボランティアとして迎え入れるのはまだ早いという観点から、本件の真偽についてお伺いするものです。 仰るとおり、広く無作為に求めると混乱を招く心配があるため、このような発信の仕方になっていること、お察し頂けたら幸いです。 私自身、これまで災害ボランティアの経験はありません。 協力することの難しさを痛感しながら、今回できる限りのお手伝いをしたいと取り組んでいます。今後も貴重なご助言・ご指導を頂けたらありがたいです。どうぞよろしくお願いします。 (記名) |
|||||||||||||||||||||
このことより、確かに国沢氏は「切実な要請」を受け、「善意」の気持ちをもって受け取って動こうとしたことには間違いはない。その点の”気持ち”については国沢氏は褒められてもよいのではないかと思う。虚栄心を満たすために利用しただけ・・・という否定的な見方をする方もいるかもしれないが、そこまで下劣ではないと思うし、そう信じたい。 しかしながら、このジャーナリストの方の考えと、それを受け取った国沢氏の間には微妙な、しかし埋めがたい溝が確実に存在していることがお分かりだろうか。 「長岡市長からの直接の要請」という点に関しては、ジャーナリストの方も文章がやや先走った面もあり、国沢氏の一方的勘違いというわけにはいかない。しかし問題はその次からで、国沢氏へのメールでは、現地で不足しているのは「荷物を運ぶ車と人」と「炊出し要員」である、と書いてあるのだ。つまりそれがニーズである。 しかし彼はこれをもってなぜか「ミニバンでの送迎とスクーターのレンタル」を計画しているのである。 さらに、このジャーナリストの方は、「国沢氏のサイトを見る方は運転に熟練しており、かつ現地に迷惑をかけないということで念を押し」た上で、現地入りを呼びかけを依頼している。 ここでも恐らく微妙な、しかし深いズレがあると思われるのだが、国沢氏はおそらくこれまでのかのサイトでの騒動を見るに、「自分のサイトを訪れる人は理性的かつ常識的で、優秀な人ばかりである」という先入観があるのだ。それゆえに、「そんなあたりまえのことはできる人ばかりだ」という意味で答えたのではないかと思われる。しかしこのジャーナリストの方が本当に望んでいたのは、何度かボランティア活動をし、十分な知識と経験を持った人達であったのではあるまいか。 加えて、この長岡市長からの依頼はおそらく10月27日以前の、まだ避難所も混乱を極めているころのものではないかと思われる。実際、小千谷入りした黄昏野郎の1人によれば、その当時は自衛隊と地元の青年会による非常時の炊出しが行われていたのみで、荷物を運搬したり炊出しをするボランティアの姿はなかったという。 しかし翌月はじめ、ちょうど国沢氏が川口入りしている同時期に再度小千谷入りしたら、すでにボランティアによる運送、炊出し態勢が確立されており、臨時の理髪所までもできていたという。つまり災害直後とその数日後ではこれほどまでに違っており、ボランティアに行く時に、現地では何が必要とされているか確認するのは必須であろう。 この件に関しては、スベやんもまた独自に取材をして、「長岡市長はそのような依頼をしたことを覚えていない」ということを掴んでいた。そして2ちゃんねるに以下のように書き込んでいる。 しかしこの言葉が国沢氏の耳に届くことはなかったようである。 |
|||||||||||||||||||||
210 :スベやん◆B38CRznNt. [sage] :04/11/02 00:43:18 ID:efo9ykjJ
|
|||||||||||||||||||||
● ボランティア活動の準備 そうこうしているうちに国沢氏はボランティア活動の準備を始めるのだが、その方法にしてもまた黄昏野郎のケチがついてしまった。 |
|||||||||||||||||||||
10月30日 10月31日 11月2日 11月4日 |
|||||||||||||||||||||
前述のように、国沢氏は「物資運搬の手が足りない」というお願いを元に、阪神淡路大震災を根拠に「人の移動手段が必要である」というように発展解釈させ、そのための行動にとりかかった。自身がページに書いていた「マイクロバス」ではなくスクーターとミニバンであったのは現地の情勢を多少考慮したものなのかどうか、それは分からない。 しかし、「ニーズがあるかどうか不明ながら」という文言に、明らかに現地の状況を実際に聞くなりして確認していないことだけは分かる。4日には「どうやらミニバンの需要が大きい模様」とあるが、これも少々鵜呑みにはしがたい。なぜなら現地の誰に聞いたかというソースがどこにもなく、いきなり書かれているからであり、「何かを見て(聞いて?)自分に都合よく解釈した」という見方もできるからである。 そして、彼はメーカーに交渉してスクーターとミニバンを借りることにしたのだが、ここでちょっとした問題が生じた。後日kunisawa.netに掲示されたこの2台のミニバンの写真を見た、ある黄昏野郎は気が付いたのである。「これは試乗記事などで雑誌に乗っていた該当ミニバンのナンバーと同じではないか?」と。 ということは、国沢氏は危険が残る被災地での自身のボランティア活動のため、メーカーの広報車を借りたということになる。すると「ボランティアのため」と目的を告げた上で貸してくれた本田技研はともかく、三菱自動車と日産自動車はこのことを知っているのかということになる。白タク業務をするわけであるから又貸しになる可能性もあるし、危険地域なので壊れる可能性もある。 そこで、黄昏野郎の何人かは、「このようなことをしているが、貴社は承知しているか」と、両社に問い合わせたのである。その回答の要旨と、それに対しての両社の回答は以下のようなものであった。なお、この問い合わせをした方の何人かは所属組織の活動として震災地で被災者の支援にあたっていた方であり、所属組織を明かして問い合わせをしている。 |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
客相としては無難で模範的な回答ではあるのだが、筆者個人のカスタマーサポート経験上の話で恐縮だが、客相の回答というものはその裏にある、文章にされていない微妙な文意をかぎとらなければならない場合がある。この回答の行間にもそれを非常に感じるのである。 率直に言って、客相のまったく関知しない場所で勝手に進行し、全社方針とも整合がとれていないので、なんともお茶を濁すような無難で曖昧な回答しかできない、という戸惑いに似た感情がかすかに感じられる。 筆者個人であれば、このような回答がきた場合、客相の真意をおぼろげに理解した上で、その文意をやんわりと確認するような質問を送ることもある(もちろん、その内容は公ではないというコンセンサスを得るのは言うまでもなく(苦笑))。 それはさておき、この件でこの回答の文意を邪推すると、国沢氏は「活動内容を告げずに広報車両を借りた」と考えてよいだろう。日産の回答の「新潟への長距離ドライブでプレサージュの良さをわかってもらえる」という点に凝縮されている。これは苦し紛れの後付けの理由づけにしか見えない。 ただし、メーカーの正式回答としては国沢氏の行為に関して認めているわけであるから、その裏を憶測するのは勝手であろうが、その憶測をもって非難はするべきではないのは言うまでもないであろう。 |
|||||||||||||||||||||
● 謝辞 後日、川口町ボランティアセンターのページ(Web Archive:別ウィンドウ表示)には、運営に協力した企業・団体の名前が掲載された。そこには日産自動車、三菱自動車、ホンダの名前はあったが、国沢氏の名前はなかった。 そのリストは「団体・企業名」であったからとも考えられるが、しかしそこのリストには個人の名称もあったにも関わらず、である。 この件について国沢氏は自身の日記でこのように触れている。 |
|||||||||||||||||||||
2004年11月14日 |
|||||||||||||||||||||
国沢氏の川口町でのボランティア活動において、実際に企画・行動したのは国沢氏であり、日産自動車と三菱自動車、そしてホンダはたった3日だけ広報車両を提供しただけである。コストとしては国沢氏個人の方がはるかにかかっているはずなのだが、彼の名は漏れた。
それでも自分が企画したボランティア活動に参画した協力企業の名が挙げられていることで喜ぶ国沢氏の日記をみれば、国沢氏は利己主義とはほど遠い、謙虚ですばらしい人物にも映るだろう。 しかし彼はNetで騒動を起こしてからこれまでの言動の印象が悪すぎた。もはや黄昏野郎の多くは、素直に国沢氏が謙虚だということが連想できなくなっていた。2ちゃんねるでは「何か裏があるのでは」「目的外で貸し出したメーカーに対する精一杯のゴマスリだろ」などの意見が書き込まれてしまうことになる。 確かに以前彼は「怪我人を救助したのに救急隊員からお礼すらなかった」と愚痴を書いていし、阪神淡路大震災のチャリティでも使用用途の連絡がないことに不満を述べている。つまりこれまではボランティア活動においても自分がした行為を認められないと我慢ならなかったわけであるから、自分の名前が出ていないことに対して不満の1つも述べないのは奇異に映らないでもない。 しかし、企業名として挙がったことがすなわち自分の名前が挙がったに等しい、と考えたのだとすれば、整合性はとれており別に問題にするようなことでもないとも考えられる。いずれにせよ彼の真意は彼にしか分からないのであるが・・・。 ただ、後日噂となる彼の川口町での行為は、そりゃあ川口町ボランティアセンターの方も国沢氏の名前を載せたくはないだろうなとも思わせる内容であったのだが、その噂については後で述べることにする。 |
|||||||||||||||||||||