6−10 こらもう早速つけるしかないでしょう!

-Traviqのクルーズコントロールに見る発言の無責任さ- (2003.05)


● 同一機種での細かな差違

手前味噌で申し訳ないが、筆者はPC-8801の頃からPCを使っている。 それからPC-9801系→PC/AT自作機への道を歩んだ。OSもMS-DOSはむろんのこと、Winも3.0から、そしてOS/2もMinixもLinuxもFreeBSDも使っていた(インストールから各種設定まで含め)ことがある。まあ、それなりにパソコンは使える方であると自負していたのである。

そして筆者は以前、会社でD社のパソコンを使用していた。 購入時に入っていたOSはWindows95であったが、しばらくして業務上の必要に迫られ、WindowsNT 4.0を入れなくてはならなくなった。
それまでに筆者はNT4.0を数台のマシンにインストールしていたので、知識としては十分のはずだった。そして該当機種はマイクロソフトのページを見ても動作機種になっていたし、メーカーも同型番のNT4.0インストールモデルを発売していた(筆者の部署ではその機種のNT4.0モデルも使っていた)ので、問題など何もないはずだった。

しかし、インストール直後から不具合が発生した。問題なくインストールは完了するものの、使い始めたらわずか数分でフリーズするのだ。原因不明で何度も再インストール(クリーンインストール)をし、ディスクの最適化もした。パッチも最新SPも適用したし、BIOSもいじった。しかし状況はまったく変わらない。Windows95を入れなおすと問題なく動くし、WindowsNT3.51も同じく問題なく動く。それでは、と同機種のWin95モデルにもNT4.0を入れてみた。やはり同じ症状で、数分でフリーズする。

こりゃあ、OSではなくハード側の問題だろうな、とメーカーのサポートに尋ねると、サポート担当も「そういう現象はあり得ないと思うのだが」と返答してきた。「とりあえず最新BIOSを送るので、これでやってみて欲しい」と回答をもらい、最新BIOSでも試したが、やはり改善されない。
八方塞がりで途方にくれていたら、後日サポート担当者から連絡があった。 「該当機種の技術情報を詳細に調べた結果、その機種のWindows95モデルの基盤のロットの一部は、ハードウェア的にWindowsNT4.0に対応できないことが分かった。実際、弊社の当該ロットの機種で確認を行ったところ、貴社と同じ症状になった。NTモデルは、その箇所を修正したロットの基盤を使用して出荷している。お客様の使っている機種のロットは、WindowsNT4.0にて支障が出るロットに該当した。メーカー出荷状態で入れているOSではないので、申し訳ないが弊社としてはこれ以上はサポートできない」とのことであった。

筆者は「やはりな」と納得できた。筆者もメーカーに勤務する1員として、そのようなことがあり得ることは理解しているからだ。筆者が扱っている製品には、「技術情報」として開発部からいくつもの情報が送られてくる。その中には、「●×のロット番号xxxxx-xxからxxxxx-xxは純正部品△○(AA-123)は使用不可能。対応部品であるAA-123bを使用すること」などというものも、まれにある。

かように、いかにこちら(ユーザー)が知識を持っていようと、メーカーにしか分からないことはあるのだ。そして純正部品だからといって、純正部品同士を組み合せても動かないことは発生し得るのである。

余談だが、後日上述の機種にWindows2000 Professionalをインストールしてみたら、まったく問題がなかったことを付け加えておく。現在、そのPCはもはやパワー不足となり一線を退いたが、Linuxを入れてDNSサーバとして元気に稼動している。


[経緯]

口汚くて申し訳ないが、正直な気持ちを述べると、筆者は今回の件ほど「国沢氏の口を塞ぎたい」と思ったことはない。影響力を持つメディアでの情報発信をしていながら、自分の言動についての責任をまったく自覚していないというのは、もはや呆れるほかない。自分の記事がどのような方に読まれるのかということを考慮するつもりがないのであれば、彼の活動の場は会員制誌か同人誌だけにしていただきたいとすら思うくらいである。

では、何が起こったのか順に見て行くことにする。


● オーナーズクラブ潜入

そもそものきっかけは、国沢氏が All About Japanでやっている「トラヴィック日記」のネタとして、ザフィーラ&トラヴィックのオーナーズクラブに国沢氏が連絡をとり、オフラインミーティングが実現したことに始まる。

そしてそのミーティングにて、国沢氏は自分自身が有頂天となってしまうほど嬉しい情報を入手することとなる。ある純正パーツを購入して取りかえる程度で、トラヴィックにクルーズコントロールがつくというのである。

トラヴィック&ザフィーラのオーナーズクラブは凄い!
オーナーズクラブのオフ会に潜入

                                        2003/03/25

一度トラヴィックのオフ会に参加してみたいと思っていた。というのも、気合い入ったオーナーって、私らのような評論家や自動車メーカーの人すら気づいていないことを知っているからだ。そこで 『Zafira Online NEtwork』というHPのメンバーの杉本さんに連絡を取ってみると、嬉しいことに「あまり集まらないかもしれませんがやりましょうか?」。するとわずか1週間前の連絡にも関わらず、21 台も参加してくれた。さすが会員数595人という大きなクラブだけあると感心。『Zafira Online NEtwork』の面白さは、トラヴィックだけでなくザフィーラのオーナーもたくさんいる点。

聞けば当初ザフィーラのクラブだったのだけれど、トラヴィックユーザーのアクセスも多くなってきたため 「じゃ仲良くしましょう」となったそうな。
(略)

まず「知ってますか?」と教えてもらったのは、懸案だったクルーズコントロール。御存知の通り現在販売されているトラヴィックのSLパッケージにはクルーズコントロールが付く。何度か書いた通り、 長距離走行多いので絶対欲しい装備。真剣に買い換えようと思っていたほど。するとどうだ。
「2001年モデルなら簡単に付きますよ」。すでに付けているクルマも何台かある。何でも2001年モデルは配線までしてあり、ウィンカーレバー(トラヴィックのクルーズコントロールスイッチはウィンカーと一体構造)を交換するだけで付いてしまうのだとか。

確かにトラヴィックは電制スロットル。コンピューターのプログラムをしてあればクルーズコントロール機能は付く。出費だが、ウィンカーレバーのみだから7千円前後とのこと。
こらもう早速付けるしかないでしょう。これだけでオフ会に参加した価値あります。参考までに書いておくと、2002年仕様も配線(3本)すれば装着可能だと言う。 会員になってオフ会に参加すれば、丁寧に教えてくれると思う。その他、気になっていたのがビルシュタインのダンパーとレカロのシート、オーディオのグレードアップ。驚いたことに全て揃っているではないの! これだからオフ会って楽しい。

(All About Japan より引用)
のっけから非常に不適切な表現である。なぜに「ザフィーラオンラインネットワーク」というクラブ名なのに、「トラヴィックだけでなくザフィーラオーナーもたくさんいる」なのか。この表現が許されるならば、ジェミニのオーナーズクラブに行って、「面白いことにドマーニだけなどではなく、PF型ジェミニのオーナーもたくさんいた」という表現も許されることになる。設立者とその目的に対し、失敬極まると筆者は感じる。

それはまあともかくとして、問題とすべきは、クルーズコントロール(以下、クルコンと略す箇所がある)に関する記述方法である。国沢氏の書いた要旨は以下の通りである。
  1. クルコンは簡単につく
  2. これは是非つけたほうがいいだろう。
  3. 改造が必要な場合も、Z-ONEに入ったら詳しく教えてくれる
これでは、トラヴィックに是非クルーズコントロールを後付けしましょう、という推奨以外のなにものでもない。そして国沢氏は実際に(クルーズコントロール用のパーツをとりよせて)とりつけたようだ。
4月15日

10時に家を出て軽井沢に向かう。トラヴィックにクルコンを装着してからというもの、ロングドライブがホントに楽。どんな長距離だって苦にならぬ。

それにしても電子スロットルって面白い。
2001年/2003年モデルのトラヴィックの場合、クルコン装着モデルのウインカーレバー(クルコンの操作スイッチとウインカーレバーが一体構造になっている。7700円)を交換するだけで稼働しちゃうのだ。何の問題もありません。まだ90km一定速の燃費は計測していないものの、コンスタントにリッター13〜14kmくらい走るんじゃなかろうか。電子スロットルのクルマは実用燃費改善のためクルコンを標準装備すべきだと思う。

(以下略)


(kunisawa.netより引用)
ここでは、もっと踏み込んで「何の問題もありません」となっている。
このため、国沢氏の記事と日記だけを見れば、さもクルーズコントロールの後付は容易かつ安全にできてしまうものという印象を読み手に与えてしまうのだ。そして、
それらはトラヴィックの公式なサイトから直接たどれる場所に掲載されているのだ。

● 改造は自己責任で!

しかし、そのクルーズコントロールシステムの改造についての情報を掲載していた方のページでは、しつこいくらいに警告をしていたのである。
Cruise control system

はじめにお断り申し上げておきます。このページ以下を御覧になる方はこれから先に明記されています事柄を御理解していただけたものと解釈させて頂きます。お嫌でしたら・・・こちらへ


これから先に御紹介する物は製造メーカー、販売会社等に安全かどうかの確認は一切取っておりません。ですから、在り来たりの言い回しではありますが

「取り付けは自己責任で!!」

と、はじめに申し上げておきます。また、この件に関してあなたの身にどんなことが起きようと
私は一切の責任を負いませんし、メーカー、ディーラー等の他人にも求めないで下さい。

あくまでも

「取り付けは自己責任で!!」

と言うことを肝に命じて、また自動車の改造の持つ危険性をきちんと認識し、他人に迷惑をかけないよう細心の注意を払って下さい。

非常に親しくしている友人が配線図と実際の配線とを見比べながらこれならば恐らく取り付け可能であろうと言うことで取り付けてみたところ見事にその予想が適中しホンの僅かな投資によって便利な機能が追加されました。
なおZafira2000年モデルはスロットルがワイヤー方式であり取り付け不可能、またZafira2001年モデルはコネクターがステアリングポストまで来ておりませんので現状では取り付け不可能です。

また、最新情報ではトラヴィック2002年モデルにもコネクターが来ていないと言うことですので、一度御自分の実車で確認されることをお勧めいたします。

今のところ不具合は報告されておりません。しかしくどい様ですが

「取り付けは自己責任で!!」

次のページに移られた方は上記の件を御理解いただけた物と受け止めさせていただきます。

★御理解いただけない方はこの先を御覧にならずに


こちらへ


★御理解いただけた方は

次のページへどうぞ


※万が一当方に苦情の連絡が参りましても、それはこのページ以下を御覧になった故の物と理解し、上記の通り一切のかかわりを持たない物とさせて頂きます。それは、あなたが私との約束を破った為当然の事だと私は考えております。


佐藤家の風景 の「Cruise control system」 より転載)
そして以下は、ステアリングポストまでクルーズコントロール用の配線がきていない、02モデルでの改造を行った方の警告文である。5月20日付の富士重工の発表(後述)を受けて修正されているが、修正(追加)された文言は橙色で示している。
クルーズコントロール装着に関して

2003/4/6 更新 
5/21 更新


このページは取り付けが困難といわれる02モデルにクルーズコントロールを装着した時の写真を載せたHPです。
クルーズコントロールはトラヴィックの電子制御部品を制御するため、今回の改造により何ならかの走行性能に支障が出たり事故を引き起こす可能性があります。
また昨日富士重工業よりクルーズコントロールの装着に関してオフィシャルに装着しないような旨のリリースが出されました。

したがって


●この改造はお勧めできません。
●この内容に関して一切責任は持てません。

興味のためにここには残しておきます。富士重工の関係者の方・・・・削除がふさわしい場合にはメールをいただければ幸いです。

ようは自己責任・・で考えられる方のみ見て下さい。

くどいようですが自己責任です。この改造によって当然走行系に問題が出た場合にスバルは対応してくれるかはわかりません。
まかり間違って大事故をおこし、富士重工の関係者の方々を含めさまざまな方に迷惑がかかる可能性があります。

自己責任です。自己責任。


内容をご理解できない・・もうくどいと思った方はこちらへどうぞっ!

・このサイトから出る方

自己責任で一切この内容が元で問題が起きてもよろしい方はこちらです!

・それでもクルコン装着を見る方


トラびぃのホームページ の「クルーズコントロール装着に関して」 より転載)
このように、両者ともにしつこいまでの警告をしている。

このような警告を出すのはあたりまえのことで、クルーズコントロール装置の取り付けは一歩誤まれば非常に危険なのだ。もしこの改造が原因で電子制御スロットルが暴走し、意図せずエンジン回転数があがるなどしたら重大な事故に結び付く可能性さえあるのだ。事故をすれば金銭的な被害を受けるだけではなく、生命の危険すら起こりうる。簡単にできてしまうからといって、ウィンドウフィルムを貼るような感覚でするモディファイではないのだ。

その後、Z-ONEの掲示板では国沢氏の記事に触発されたかどうかは知らないが、「自分もクルーズコントロールをつけたい」という意見がいくつも出た。それに対して「改造に関してはもう少し慎重であるべきでは」という意見も、もちろん出ていた。

そしてある日、「クルコン用レバーを買おうとしたら、あなたの車のパーツではないのだから取りよせられないと断られた(?)」という書きこみもZ-ONEの掲示板にされた。それに対する国沢氏の見解は、
「ディーラーとキチンと信頼関係を作っていれば売ってくれるんじゃないでしょうか」という、断られた問題の本質をまったく理解していない発言であった。

そしてついに富士重工はこのような告知を出さざるをえなくなった。
TRAVIQのクルーズコントロール部品を購入要望されるお客様への事前告知

日頃よりスバル車をご愛用いただきありがとうございます。

最近インターネットの掲示板で、クルーズコントロール無し仕様の車両に、お客様がクルーズコントロール部品を購入し、ご自身で取り付ける事例が紹介されております。
クルーズコントロールは安全に関るシステムであり、お客様自身が独自に改造された場合、 思わぬ事故に結びつく恐れがあります。

従いまして、今後スバルとしては下記対応をさせて頂きますので、主旨をご理解いただき、引続きスバル車をご愛用賜りますようお願い申し上げます。

【告知内容】

1.『独自の改造は危険であり保証対象外です。』

クルーズコントロールは安全に関るシステムであり、購入後にお客様が独自に改造された場合、思わぬ事故に結びつく恐れがありますのでおやめください。
なお、保証書に記載されている通り、改造に起因する不具合については保証対象外であり、保証修理はいたしません。

2.『販売店では保証できない改造に関する点検・整備作業を実施しません。また、該当部品も販売しません』

スバルグループとして保証できないクルーズコントロールの改造に関しては、スバル特約店またはスバル指定サービス工場での点検・整備作業を実施いたしません。又、該 当部品も販売いたしません。

(以下略)

(富士重工のページより引用)
これは、「安価でクルーズコントロールがつく」と国沢氏が宣伝しすぎたため、各地のディーラーで問題化してしまったせいであるということは明らかである。そして、これは安全に関る装置を安易に改造してしまおうと考える -あえて書くが- 無知なユーザーに対する警告でもある。

● メーカーの対応は当然ですが心配ありません

しかし、ここに至っても国沢氏はまだ自分自身がやってしまった重大な問題がどういう点であるかを認識できていないのだ。
タイトル: 出ましたね
記事No: 11882
投稿日: 2003/05/20(Tue) 21:00
投稿者: A

こんばんは。Aです。
・・・ついに、というのも何ですが、オフィシャルコメントが出てました。

http://www.fhi.co.jp/topics/01_09_05/index0519.html

うーん、話が大きくなってるんですねー

タイトル: メーカーの対応は当然です
記事No: 11903
投稿日: 2003/05/21(Wed) 09:39
投稿者: 国沢光宏

厳密に言えば純正オイルを使わずエンジンが壊れた場合、
原則的にメーカー保証は受けらないということになっています。

どのモディファイであれ、ノーマルから手を加えた時点でオウンリスクです。
ただ今回の件、配線が来ているモデルについては、単に「カプラーを繋いだ」だけ。
タイで繋ぐか、日本で繋ぐかの差だと思います。
なんたって純正部品ですから。
社外品のオイルやホイール&タイヤに交換するより心配ない、と自分で判断しました。
今後のモデルについては純正で選べるようにして欲しいと思います。
ディーラーオプション扱いにするのもいいんじゃないでしょうか。

タイトル: 当然といえば当然かなぁ〜
記事No: 11884
投稿日: 2003/05/20(Tue) 21:18
投稿者: B

(略)
メーカーとしてみれば当然の対応かも知れませんね。まぁ、いずれにしても一つの企業がここの(多分ここだけか?)掲示板で緊急ともいえる事前告知を出すなんてZ-ONEの影響力や絶大ですねぇ〜。(^^;

タイトル: 当然でしょうね
記事No: 11893
投稿日: 2003/05/20(Tue) 23:48
投稿者: T

Tです。

アングラで販売禁止にはなる可能性があると思っていましたが、オフィシャルに告知まで出すとは。
まあ、メーカーとしては当然の対応だと思いますので、今後この対応に関するメーカーおよびディーラーの批判はご遠慮願います。

改造は自己責任でというのは当然ですが、不用意な配線が原因でセットした速度が解除されなくなったり、突然速度が上がっていったりしたら事故につながりますからね。特に02’。

ってことで、すでにやっちまった方々、十分注意して下さいね。
これからされる方、自己責任と言うことを十分に認識した上でお願い致します。
(個人的にはブレーキパッドを自分で交換するのと同じ程度のリスクかなとは思うのですが。)

タイトル: 今回の対応に関する疑問
記事No: 11897
投稿日: 2003/05/21(Wed) 00:40
投稿者: S

ずっとスバルの車を乗り継いで、現在03登録の02標準トラに乗っています。

トラヴィックをスバルオリジナルなんて考えてませんが、スバリストなので入会はしてません。
トラもスバルの車なので乗ってます。富士重工製にはこだわりません。
逆に言えば、過去にあった、パルサーとかOEMのアスカとか、今後出てくることが予想される富士重工製のサーブには乗りたくありません。

自己紹介がすんだところで今回の問題、

> アングラで販売禁止にはなる可能性があると思っていましたが、オフィシャルに告知まで出すとは。
> まあ、メーカーとしては当然の対応だと思いますので、今後この対応に関するメーカーおよびディーラーの批判はご遠慮願います。

とありますが、あえて言わせてもらいます。
アングラでの販売禁止とかの段階なら問題ない、許容できることですが、オフィシャルにこういった告知を出したにもかかわらず、未だに(投稿時点)、この掲示板にたどり着くであろう「トラヴィック日記」にリンクを張っているとはどういうことか?
ご丁寧に、「告知」「日記」とも同じトップページからいけるのだ。
メーカーの対応としてこんなことでいいのか、疑問。

タイトル: この流れは必然では…
記事No: 11908
投稿日: 2003/05/21(Wed) 16:49
投稿者: G

仲間内で楽しむ分には自己責任でよかったのでしょうが、パブリック色の強いサイトに記事のような形で載ってしまった時点でこうなるのは時間の問題だったと思います。
本来どのような内容であれ、改造行為は自己責任に基づいて行うものですが、記事のような形で公表されるとそうした責任意識のない方々にも伝わる事となり、結果予想できないような大きな問題が発生する恐れがあります。
やはり改造(改良含む)は仲間内や口伝に広めていくのが良いのではないでしょうか?
HPでアナウンスするメリットは大きいと思いますが、今回のような結果になったり中には自分の手柄のように自身のHPで扱う輩も出てきますから。。。

タイトル: やっぱりね
記事No: 11883
投稿日: 2003/05/20(Tue) 21:12
投稿者: N

こんばんは、青トラ乗りのNです。

> ・・・ついに、というのも何ですが、
あららという感じですね。
やはり、OEMを受けている立場上やむをえないのかなぁ〜。
まぁ、これがきっかけで後付として正規に対応してくれればと思います。

(Z−ONE の掲示板より引用)
敢えて言わせてもらうが、(国沢氏は一度たりともメーカーに勤務したことがないのでしかたがないかもしれないが)発想が甘すぎる。

先にも述べたように、パソコンでも同じ機種でもロットや細かな仕様変更により、あるものは特定のOSが動作したり、しなかったりする。そして自動車でも、ロットによる微妙な仕様変更は頻繁に行われている。
そしてそのロットの違いで、純正部品でも対応するものと、しないものがでてくことは十分ありうる。 純正同士だから絶対に合う、などという保証はないのだ。そしてその情報はメーカー側しか持っていないものもあり、たとえ専門家だからといって安易に判断を下せるものではないのである。

今回の例で具体的にいえば、クルーズコントロールシステムがついていないトラヴィックにも、クルーズコントロール用のプログラムが入ったROM(最近は違うか?)が使われているという保証はまるでないということである。この場合は、「たまたま」うまくいっただけであって、全てのトラヴィックで可能ということは、メーカーが保証していない限り決して言えないのだ。

もしある特定のロットに関しては、クルーズコントロール用の制御が切られた状態であっても、もともとクルーズコントロールがオプションでも用意されないグレードであれば、それはただの細かな仕様の違いであり、
ユーザーに保障するレベルでの製品としては全く問題がないということは言うまでも無い。

自作PCの分野で例えれば、オーバークロック耐性の低いCPUのようなものなのである。

● 自己責任とは

おそらく国沢氏はじめ安易にクルーズコントロールをつけた方は、以下のような可能性は微塵も考えていなかったと思うので指摘しておく。

もし今後、トラヴィックの電子制御スロットルに不具合がみつかり、「クルーズコントロールを使用した場合、動作に異常をきたして暴走する可能性が高いので、クルーズコントロール付き車のみリコール対象」とされた場合、後付けでクルーズコントロール用のパーツをつけた人は一切保証されなくなる。
ここで一切保証されないということは、
たとえ有償でも対策済プログラムは入手できない可能性があるということである。

もっと恐ろしいことに、もし改造したトラヴィックで事故を起こし、それがクルーズコントロールで巡航中に発生したものであれば、
「メーカー保証対象外の改造をしたことによって実現した機能で事故を起こした」ということにされて、違法改造扱い=保険が支払われない可能性すら出てくるのではあるまいか。

このような最悪のリスクも考えた上で行うのが真の「自己責任」である。

しかし昨今、「改造は自己責任、自己責任」と安易に言ってホイホイ改造をしているような方は、このような最悪の事態も考えているとは筆者には到底思えないのである。何かその言葉を使うことによって自分に酔っているだけのような・・・そんな印象を受けることが少なくない。


閑話休題。

最初にクルーズコントロールの改造を紹介した方達がしつこいほど警告しているのは、ここまでの最悪の状態になっても、誰も保護してくれないぞという警鐘でもあったのである。


● 信じられないほどの当自者意識の欠如

繰り返しになるが、国沢氏は自身がユーザー、及び富士重工本社及びディーラー、各種整備工場に与えてしまった影響について全く理解できていない

富士重工のページ、またはAll About Japanなどから来た方が、まず「トラヴィック日記」の国沢氏の該当記事を見て、冒頭の「評論家やメーカーでも気付かなかったことを知っている」という点をどう解釈するだろうか。国沢氏は、ここに「改造は自己責任」という気持ちを込めたのかもしれないが、読み手にはむしろ「コアなユーザーの方がメーカーよりトラヴィックのことを知っている」という印象だけを与えるだろう。その結果、メーカーが言う事よりも、Z-ONEでの情報の方が信頼性と価値があると認識してしまう人も多いのではあるまいか。

そして、国沢氏はその中でクルーズコントロールシステムのメリットをことさら宣伝し、かつ「これは早速つけねばなるまい!」と率先してやろうとしている。かつ、「そのパーツをつければいいだけ」「安く、かつ簡単につく」「02モデルでも改造すれば可能」であれば、是非つけたいと思う人もいるはずである(国沢氏も推奨しているのだから)

加えて、国沢氏の記事からは、
  1. この改造についてメーカーは認めていないこと
  2. この改造をメーカーはやってくれないこと
  3. 改造および改造後はすべて自己責任となること
ということは、やはり(明確には)読み取れない。 加えて、富士重工のトラヴィックのオフィシャルページからリンクが張られている宣伝ページで「是非クルーズコントロールの部品をつけよう」と書いているのだから、「これはメーカーも推奨している改造ではないか」と思う人が出る可能性もある。

何故なら、kunisawa.netならば車好きばかり見ているのかもしれないが、All About Japanやトラヴィックのオフィシャルページは、自動車をいじることにあまり興味の無いごく普通の人も見ていることは容易に想像がつく。そういう人たちは、車の改造は自己責任という、国沢氏の言うところの「車をモディファイする場合の常識」など知らないし、自分が「やってくれ」と言ったことは、無茶な要求でない限り大抵は(社外オーディオの取り付けなども)ディーラーの工場でやってくれると思い込んでいるのだ。

今回の件も、部品の取り付けに自信が無い人であれば、当然それを「信頼できる工場」に頼もうと考える。その多くが「ディーラーの整備工場」になってしまうのは火を見るよりあきらかである。
しかし、ディーラーとしては責任上、こんなことはできないのはあたりまえであるが、彼らはこう答えるであろう。「あなたたちの車を宣伝している著名な評論家が『何の問題もない』と勧めている改造なのに、なぜディーラーでやってくれないのか」と。

このように、国沢氏が「改造は自己責任と皆知っているはずだ」「この改造は自分でやる(メーカーはやってくれない)ものだと皆理解できるはずだ」と身勝手に思い込んで、上のトラヴィック日記を書いてしまったため、トラヴィックを買おうとする人にも、改造をした人、これから改造しようと思っている人、そして富士重工のディーラーや整備工場にも多大なる迷惑をかけてしまったのではないかと思われるのだ。


● 自分の情報はどんな人が見るのだろうか


国沢氏の問題点は、自身の推奨する改造の前提条件と危険性を伝えることなく、利点ばかり大げさに伝えてしまうという点、およびその前提条件と危険性は「常識である」として、
説明義務を完全に放棄して開き直っている点にある。

何度も言うが、国沢氏はこの件に関しては、車が好きな人が集う(とされる)kunisawa.netだけに書いているのではない。All About JapanというPublic性の強い媒体で、ごく一般の方に向けても発信しているのだ。このような人たちは、
車好きの間では常識であると思われることでも知らない可能性は非常に高い。これは「常識を知らない」のではなく、異分野のことなので「知らなくてあたりまえ」とみなすべきなのである。それゆえ、車好きの間では常識と思われることでも、必要最低限の注意を行う必要は生じてしかるべきであろう。

それらの、車好きではない方々への注意喚起は、たったこれだけの文で足りることなのだ。
注: この改造はスバルディーラーでは実施してくれません。また改造を行った場合、メーカーの保障を受けられなくなる場合があります。加えて、私およびAll About Japanは、この改造を実施して生じた不具合等に関する責任は一切負いかねます。ご了承ください
過去、国沢氏はアーシングを実施する際にも、上記のような注意もなく推奨し、掲示板で「注意する必要があるのでは?」という意見が出たら「私は金をもらうわけでもないので、リスク説明などする必要はない。世間に甘えるのはやめろ」と返答した。

しかし、もし百歩譲って、ジャーナリストは市民に判断材料を示すのが仕事であったとしても、メリットばかりではなく、デメリットも示して初めて読者に判断材料を与えたことになるのではあるまいか。

もし他方のデメリットが自分にとっては常識であろうとも、メリットの対として書いておくべきものであろう。(ここでいう常識とは、1-4に挙げた、都合の良い言葉としての「常識」そのものとなるのは言うまでもない)
そうでなければ、これらは判断材料を示しているのではなく、ただ自分の考えを押しつけているにすぎない。そのような行為に走るのは到底ジャーナリストとは言えない。ただの放言家か宣伝屋である。

国沢氏は、自分が常識的であり、一般庶民の考えの標準偏差のど真ん中と思っているのかもしれないが、「車好き」はいまや車を購入する人全体から見れば小数派ではあるまいか。それゆえに、車好きではない一般の人向けの記事では、kunisawa.netや自動車雑誌の記事では考えなくてよい慎重さをも要求されるはずなのだ。

つまり、2-1で書いた要旨である「情報発信をする場合は相手が誰かを考える必要がある」が国沢氏には欠けていたのである。

その後は、もはや彼のお決まりとなってしまったともいえる、保身のための言い訳にすぎない。純正オイルと社外オイルを比較している点など失笑を誘う。社外オイルを入れる際には、仮にメーカー保証が難しくなるとしても(まずありえないが)、販売店やオイル会社の責任がゼロとはならない可能性がある。だが今回の件では販売店もメーカーも保証は100%しないと断言しているのであって、この違いは非常に大きいのだ。

最後に、クルーズコントロールの取付改造を行った方の1人の意見を紹介しておくことにする。自身がよかれと思って、細心の注意を払って紹介した情報をまったく台無しにされてしまったことで
内心忸怩たるものがあろうはずであるが、その気持ちを抑えていることがよく分かる。

これには明らかに国沢氏への痛烈な皮肉と警告が込められているのだが、この方の思いが国沢氏に届くことは果たしてあるのだろうか。

なお、下の文章程度では問題ないかもしれないが、これを見て不快感を持ったある人物の対応によってはこの方の立場が悪くなる可能性もゼロではないため、以下の文章の引用元は明記しないのでご了承願いたい。引用元の方には深くお詫びしておく。
■クルコンに関してコメント

この改造はできませんのでご了承ください。
富士重工のプレスリリースにあるように行き過ぎた走行に関しての改造に近いものがあると私自身も考えていた次第です。ただ非常に便利なものであることを富士重工も意識した上でトラヴィックの日本での発売をして欲しかったというのも事実です。
特にSパッケージというメイングレードがクルコン対象外というのも納得がいきません。

なお微妙な表現ではありますが、某オフのコメントに某評論家のコメントに関して牽制のコメントを書いていたつもりです。

>クルコンはぜひ付けようとのことでした。
>(うーん。ちょっとね。うん。)

したの()で表現される部分はこの改造の危険性を表しておりかつ、このようなメジャーな方に知れると目に触れる機会は増えますよという警笛の意味も実は含めていたつもりです。
今回時間がたって、いろいろな所で話題が出回ってからの措置に関しては手遅れではありませんが、もう少しいろいろチェックされてはと思います。それと掲示板にも書いてありますが、メジャーな方も発言をいまひとつ工夫されることを期待されます。

(略)

このサイトはこのままにしておこうと思っておりますが、富士重工様やご迷惑がかかっている方の要望により落としてもいいと考えております。ぜひメール等でご連絡ください。


(某所より引用)
第6章TOP
2003.05.25 β−1版
2003.05.28 1-0版

2003.06.12 誤字修正