6−13  やっぱり解りませんね  −理解したくない病 ETCについて−
● 地球の中には何がある?

読者諸氏は「地球空洞説」をご存知であろうか。

この大胆な説は、古くは世界各地の神話等の「地底に楽園がある」という記述にまで遡る。
その後、何人もの人物が地球内部は空洞であると唱えたが、有名になったのは1864年のジュール・ベルヌの小説「地底旅行」からではないかと思われる。アイスランドの休火山から地底100kmに入ると、そこには巨大な空間と海があり、太古の生物がいたという物語である。筆者も昔これを読んで「へぇー、面白いな」と思ったことを覚えている。
まあこれは物語なのだが、現実にそういうことがあったと主張する人も現れる。ノルウェーの漁師オラフ・ヤンセン氏の話などがそれであるし、1947年にも米海軍のバード少将が南極で奇妙な場所を見たと言われている。実際には上空を飛行したら「雪に覆われていない緑に覆われたような場所があった」程度だったらしい…のだが熱帯の植物があっただのマンモスがいただのと変に脚色されてしまっているようである。真実は不明だが。

これらの極地の穴だが、北極の穴は「北極点」といわれる付近からウランゲル島方面へ80度付近までの北極未探検地(北緯84度、西経170度)、南極の穴は、南極大陸の中、南極点から西へ50度、北緯80度以内の南極大陸の地図にもある「到達不能地域」という所にあるらしい。

そして彼らの説を裏付ける決定的証拠が、何枚かの写真として残されている。The Holes at Poles をご覧いただきたい。1967年1月6日に人工衛星ESSA-3が撮影した北極の画像、また1968年11月23日にESSA-7が撮影した同北極の画像には、極点付近に大きな黒い穴のようなものが映し出されているのだ。

これらの証言と物証を併せて考えれば、「確かに地球に穴が空いている!」と信じてしまう人もいるかもしれない。また疑い深い人は「この写真は何かのトリックだ。または何かを隠すためのNASAの陰謀だ」と騒ぐであろう。そして大半の人は「この写真は何なんだろう?」とは思うが、深く考えないのではあるまいか。

さて、この写真はトリックでも何でもなく、実際にNASAが公表したものであるが、このような写真ができたのは理屈がわかればしごく簡単なわけである。

まず、この写真を撮影した衛星(EX: ESSA-3)は、アメリカの低軌道・極軌道・太陽同期式の気象観測衛星で、高度500〜1000km程度の高さで北極・南極を通る軌道を1時間〜90分程度で周回し、地表の一部を撮影する。北極に達した瞬間に「パシャッ!」と北半球全体の写真を撮るような衛星ではない。そのような写真を撮影できるほど高い軌道は通っていないのだ。
また、ご存知のように日本が昼間の時には反対側のアメリカは夜である。ということは、もしこの人工衛星が北極上空で北半球全体の写真撮影をしたとしても、地球の半分は夜として映っていないはずである。

ではこの写真は何かといえば、低軌道で撮影したいくつもの写真を合成し、北半球側を作成したものなのである。
上記ページの写真ではよく分からないと思うが、拡大して陸地の海岸線を見ると明らかに「低高度からの写真をつなぎ合わせたもの」ということが分かるそうだ(よーく見ると南半球の陸地までも映っているらしい…)。

そしてもう1つ。地球の地軸は傾いている。そして11月や1月は、北極圏は1日中暗闇に包まれている。
ここまでくれば、もうこの写真での黒い空洞のような部分の正体は分かるだろう。穴のように見えるのは、ESSA-3(7)が撮影できなかった、冬季に日の光を浴びることがない極圏−夜の部分なのである。もし同条件で仮に6月頃に撮影したらこの部分はくっきりと映し出されるはずである(白夜だから)。読者諸氏も下の図で少し考えてみて欲しい。




参考:「トンデモ超常現象99の真相」 と学会(山本弘+志水一夫+皆神龍太郎)・著 ISBN4-89691-251-9

ここまで説明されれば、大半の方は「なぁ〜んだ」と納得する。地球に空いた穴と信じてしまった人も、「はは、俺って信じやすいバカだなあ」と言って笑い話になるだけですむ。
しかし一部の人は「そんなことはない、夜といっても、こんなにクッキリと黒くなるはずがない、これは絶対に穴だ」と言って譲らなかったり、「この写真ではそうかもしれないが、
しかし実際に極地で不思議な体験をした人がいるのだから、やはり穴があるのだ」と言って信念を曲げないであろう。

そして多くの人がその意見に引いてしまい、誰も耳を傾けなくなっても
「真実を述べる者は最初はいつも冷遇されるのだ」と、彼は自己の主張をみっともないまでに繰り帰してしまうのだ。

今回の話題となるのは、そのような、「原理を説明しても、どうしても納得しない困った人達」についてである。
● ETCなんかダメだ

国沢氏はもともと反ETCの急先鋒であった。筆者は彼が昔何かのメディアで「ETCが普及したら、どこを通ったか当局にデータが残るのでプライバシーの侵害になるかもしれない」と言っていたと記憶している(違ってたら申し訳ない)。

kunisawa.net内にもETCへの道なるページを設けているが、全体として否定的雰囲気が漂う。この中での


考えて欲しい。激しく渋滞する中、2つもの(全部で30ゲート使っているとすれば7%弱が専用ゲートということ)ETC専用ゲートを設定する必要などあるのだろうか。専用ゲートさえ止めれば、交通量を7%増やすことが可能。当然ながら渋滞だって7%減る。ETC利用者にとってみれば「最後の200mの優越感」こそ無くなるも、渋滞通過時間は短くなるだろう。
どうしたらいいか? 利用者側に出来るのは二つ。「今のまま我慢する」か「どこかの組織がキチンと計画し、ある日から一斉に専用ゲートを無視する」か。最初に書いた通り、個別で通過するのはテロ。許される行為じゃない。でも利用者の総意なら、これまた民主主義だと思う。普通、こういった宣言をすれば、強行前に解決する動きになるもの。黙っていれば、いつまでも我慢しなければならぬ。心ある政治家の方、名乗りを上げませんか? 協力します。


この文章など筆者にとっては「○×△□☆!?」で、多くの読者にとっても「そこまでETCを嫌うか!」という印象しか受けないであろう内容である。
また、
2001年にはこのようなことまで書いている。
11月25日

まったく良いウワサのないETCに、また一つ悪いニュースが加わった。何と半年間で約2千件も誤作動があったそうな。あれだけお金を掛けたシステムなのに、電波の乱反射によって認識しないケースもあるという。これ、道路公団の発表だからして、本当の理由は別にあるのかもしれないけれど、いずれにしろ酷い話。もしかするとキチンと作動しないため、割引料金制度の導入など本格的な運用が出来ないのか? だとすれば巨額の投資の利払いをどうする? 半年経って直らないということは、システムの根本的な問題ということも考えられる。EUなどで使われているETCは、圧倒的に高い信頼性を持つ。誰も責任を取らないし、取らせないのに驚く。

(kunisawa.netより引用)
これから見ても、国沢氏はETCを良く見てはいなかったことは明確である。それが主にどういう理由によるものかは不明である。単に車載器の購入と取付費用(セッティング料)が必要で、かつ当初は割引もあまりなかったというのが主原因ではないかと思われるのだが、あくまでこれは筆者の下種な憶測にすぎない。

● 不正通過できるんじゃないか


そしてETCへの批判は料金だけではなくてシステムにも向けられることになる。
2002年8月29日

読者の方から以下のようなメールを頂いた。「自分の車にはETCユニットがついています。今日も高速道路使用して帰りに中央道小牧東ICで混雑する料金所を両脇に見つつ、ETCレーンから外に出たところ、
猛スピードでカローラバンが後ろからついてきて、ETCゲートが閉じる前に突破してしまいました」鉄道の自動改札口と同じ手口である。こらもう危険である! というか、看過されるべき問題じゃない。こういったケース、公団や警察は想定していたのだろうか? もし写真撮影しているなら即刻検挙し、その事実をキチンと報道機関に伝えるべきだ。それとも証拠が残らないのか?

(kunisawa.netより引用)
これが今回の話題となる「ETC不正通行?」の第一の目撃証言である。そしてこれからしばらく、この件について国沢氏は何も述べなかった。再び話題にしたのは、およそ1年も経ってからである。

後述するが、こういうケースはちゃんと想定してETCは設計されているようである。
2003年6月19日

ETCのユニットを購入してしまった。しくしく。理由は簡単。予想以上に高速道路使ったため5万円ハイカが来月一杯くらいで無くなってしまいそうになったからだ。5万円ハイカが無くなれば、1万円ハイカ使うしかない。すると今までよりJHに5万円あたり5500円も余分に払わなければならぬ。だったらETC導入し、5万円の前納の方が半年スパンで考えたら得、ということです。今なら5千円の割引も使えるし。意地張ってJHを儲けさせるのもアホでしょう。その代わり支払いはオジサンの居る窓口を使います。高級金額は納得できない3千円ナリの”シノギ”代金を含め1万2390円なり。12万円分くらい使えば(およそ4ヶ月)1万円ハイカより安くなる計算。(略)

2003年6月20日

ETCカードがないと前払い割引を使えないのでVISAに電話する。ネットで申し込め、ETCカードの料金は無料。10日間くらいで送られてくるとのこと。av編集部の三沢君からのメールに
「首都高の錦糸町料金所で、前のクルマに続いてゲートを通過する”スリップストリーム抜け”を見ました。あれはヒドイ」とあった。やっぱり出来るみたいです。いけません。(略)

(kunisawa.netより引用)
これに対し、関係者らしき方(以下T氏)からkunisawa.netの掲示板に反論があった。以下はそこからの、国沢氏や常連とT氏とのやりとりの引用である。
”スリップストリーム抜け”について 投稿者:T 投稿日: 6月22日(日)01時47分37秒

国沢様
こんにちは、Tと申します。
いつも楽しく拝見させて戴いております。
突然ではありますが国沢様の6月20日の日記に、一部誤解を招くと思われる記事がありましたのでご報告させて頂きます。

>「首都高の錦糸町料金所で、前のクルマに続いてゲートを通過する”スリップストリーム抜け”を見ました。あれはヒドイ」とあった。やっぱり出来るみたいです

この部分ですが、
ETCシステムでは不可能です。
例え車間が少なくともセンサーで検知しバーが下がりますし、牽引状態であれば料金区分違反となりバーが開きません。
後続車がバーが下がりきる前に強行突破すると間違いなくバーがぶつかります。
但し、ゲートバーは安全性を考慮して進行方向への開放機構を持っていますので強引に突破出来ると言えば出来ますが、車側にもダメージがあると思われます。
”スリップストリーム抜け”と誤解されているものは、ETC車の連続通過と思われます。(エラーの可能性も否定出来ません)
ETC車が連続通過した場合、ゲート開いたままになり、あたかも後続車が不正通過出来てしまったかの様に見えてしまいます。
でも実際は、不正防止の仕組みがいくつも組み込まれており、疑わしい場合はゲートを開けない仕組みになっています。それ程までに不正利用に厳しい作りになっています。
長文失礼致しました。

そうですか 投稿者:国沢光宏 投稿日: 6月22日(日)08時24分45秒

技術的に可能かどうか不明です。やってみるワケにもいかないし。
それに取材したんですが詳細は教えてくれません。
ただ何件か見たという情報を頂いています。
Tさん、詳しければ教えてくれますか?
関係している方ならメールででもけっこうです。

スリ抜け? 投稿者:S 投稿日: 6月22日(日)17時27分20秒

ETCのすり抜けの件。わたしの友人が購入の際に「牽引装置の有無」に付いて尋ねられました。
聴かれた当人は意味が分からなかったようですが、恐らくピントルフックやヒッチボールの有無の事だとおもわれます。
現実問題として、牽引車量をどのように識別するのでしょうか?そして、牽引している場合どんな形で課金されるのでしょう?
(略)

Re: ”スリップストリーム抜け”について 投稿者:T  投稿日: 6月22日(日)22時12分50秒

国沢様 S様
Tです。おせわになります。
ETCシステムの詳細については、システムの性質上公開不可となっておりますので、今回の件に関しては、概要的な意味合いで説明させて頂きます。
まず”スリップストリーム抜け”を行った場合、システム側はまず前車を牽引車両と認識します。
そして前車の登録情報をチェックし普通車登録であれば、前車共々ゲートは開きません。
仮に、前車が普通車と認識されゲートオープン時に、後続車が猛スピードでゲートに進入した場合でも前車がゲート通過後に、問答無用でゲートを閉じます。
これは
ゲートバー脇に設置された車両センサーで車両通過を認識できているのと、登録情報から車長が判明しているからです。
また牽引の場合ですが、こちらは普通車(普通)が牽引車両として登録されていれば、牽引する車両の車軸で判断します。仮に1軸のトレーラーを牽引した状態であればワンランクアップ(中型)の料金で計算されますし、2軸のトレーラーを引いた場合はツーランクアップ(大型)の料金で自動的に計算されます。
当然ながら牽引車量もゲート内のある部分でチェックしておりますが、申し訳ありませんがこちらの情報は公開することが出来ません。
もしも普通車登録で牽引される場合は、ETCゲートは使用せずに有人ゲートにてETCカードを手渡しで通行する事になります。
またも長文になってしまいましたが、この様な回答でお分かり頂けましたでしょうか。

Tさま 投稿者:Y 投稿日: 6月23日(月)10時45分28秒

便乗質問させてもらってよろしいでしょうか?
複数の車があるのですが、ETC車載器は1台しかないのでこの1台を他の車にも使い回しは可能でしょうか?
車の料金クラスはすべて同一なので、料金の不正をする訳では無いので法的には問題ないと思うのですが?
やはりナンバーの情報を読み取って作動拒否をするんでしょうか?電源はちょっとした工夫をすれば確保出来るんですが・・・

ETCゲート不正通過 投稿者:国沢 投稿日: 6月23日(月)14時22分11秒

何もデータが公表されないというのだから何がウソか何が本当だか解りません。
前車が通過して何秒たったらゲートは締まるのでしょうか?
ただETCの車載器を持っていれば、そんなに車間を詰めて通過することもない気がします。
一方、目撃者は複数おります。
やっぱり解らないですね。

ETCゲート不正通過 投稿者:H 投稿日: 6月23日(月)15時40分30秒

Tさん、その他詳しい方へ素朴な質問です。

>登録情報から車長が判明している

より、仮に元の登録を「軽自動車」でETC登録したとします。いくら全長登録されていても、システム誤作動対策として多少の寸法許容差は確保している事と思います。
そこで、機器を小型車(最近の小型は全長は軽+数センチ程)に無理やり付替えていった場合認識はどうなるのでしょうか?
また、友人が考えていたのですが、現使用車がひょんな事(故障や事故)で急遽使用不可になり、仕方がないので次の車を購入しました。運良く同系式を購入できたとしまして、とりあえず機器を移設(たぶん違反ですが)。そうするとナンバー以外はほぼ同じと言う事になります。こんな時でもETCって認識するのでしょうか?

(無題) 投稿者:T 投稿日: 6月24日(火)00時15分32秒

Y様 国沢様 H様
毎度、お邪魔します。
>複数の車があるのですが、ETC車載器は1台しかないので
>この1台を他の車にも使い回しは可能でしょうか?

禁止事項ではありますが、料金形態が同一であれば現システムでは通行可能です。
但しシステム上はチェックしておりまして、簡単に通行できない様に変更する事が可能となっていますので注意が必要です。
何故この様な仕組みになっているかと申しますと、改造車や汚れでナンバー読み取りが出来ない場合があり、この度にエラーにしてしまうと運用率が悪くなってしまい、ETC導入過渡期のトラブルを少しでも減らしたいがための措置なのです。
今だけの特別措置と思われると良いかもしれません。
また登録ナンバーと通過車両のナンバーが不一致の場合、車載器登録者へ確認の連絡が行く事がありますので、こちらもご注意下さい。

>前車が通過して何秒たったらゲートは締まるのでしょうか?

詳細はコメントできませんが、秒では計算しておりません。

>ただETCの車載器を持っていれば、そんなに車間を詰めて通過することもない気がします。

ゲート通過スピードに挑戦する方や、前車がスピードを落としすぎた場合など、車間距離がメートル単位以下になほど接近するケースもあります。
ゲートが開かないケースがある事を知っている方は、進入スピードや車間距離に余裕を持っていますが、ETC初心者の方は前記の様な行動を起こし易い様です。

何度も申しますが、不正通過に見えるものはETC車の連続通過です。

どうしても信用できない様でしたら、実際に試されると分かると思います。あまりこの様な事を書くのは良くないのですが、試される場合はETC車両でカード未挿入状態でゲートに進入して下さい。これならゲートが開かない場合でも、料金所でナンバーを控えられる事が無いと思います。

>機器を小型車(最近の小型は全長は軽+数センチ程)に無理やり付替えていった場合認識はどうなるのでしょうか?

車幅やナンバーの色も測定していますので駄目です。前回も書きました様に、疑わしい時はバーは開きません。
ETCがこれ程までに効果になった理由の一つが、この不正利用に対するチェック機構が多過ぎる為です。本来なら路側帯アンテナだけで充分なのです。


ETC 投稿者:国沢 投稿日: 6月24日(火)06時33分54秒

了解しました。いずれにしろテストしてみたいと解らないですね。
かといって実際にテストしてみるつもりにはなりません。JHに聞いてはみますが。
自動車メーカーの場合、新しい技術は相当自信を持っていますが、やはり確認テストさせてくれます。
その公正さをJHに求めてもダメでしょうねぇ。

高速道路無料化? 投稿者:Y 投稿日: 6月24日(火)21時07分48秒

(略)
>T様
丁寧に教えていただきありがとうございました。やはり難しいみたいですね。ちょっとしつこいと思われるかもしれませんが、複数の車両のナンバーをすべて同じ数字でそろえてしまえば可能かも知れませんね?いくらなんでも陸運支局名や平仮名までは読み取り出来ないですよね?


ETC 投稿者:国沢 投稿日: 6月24日(火)21時43分34秒

本日観察してみました。
ETC付き車両が通過した直後にゲートが締まるワケじゃないですね。
車間距離を詰めていれば十分ゲートが締まるまでに通過出来そうです。

ETCについて 投稿者:D 投稿日: 6月24日(火)22時52分44秒

失礼いたします。
いつも楽しく,拝見,勉強させていただいています。ETCには大変興味があり,今回の書き込みは興味深く読ませていただいています。ちょっと気になったので書き込ませていただきます。

国沢様

>ETC付き車両が通過した直後にゲートが締まるワケじゃないですね。
>車間距離を詰めていれば十分ゲートが締まるまでに通過出来そうです。

後続車(タダ抜け車)はいきなりゲート前に現れる訳ではないですよね。
ゲート以前に設置されているセンサによって,

・後続車が接近している
・後続車はゲート通過拒否車(ETC未搭載車等)

ということは,システムが認識できていると思います。このような場合,不正走行を防ぐ対策はされているのではないでしょうか?たとえば,ゲート閉鎖を即座に行う・・・等々

Y様

>複数の車両のナンバーをすべて同じ数字でそろえてしまえば可能かも知れませんね?いくらなん
>でも陸運支局名や平仮名までは読み取り出来ないですよね?

T様への質問なのに横レスで申し訳ありません。
私はJHの関係者でもありませんので,ETCのシステムにどのくらいの性能があるのか知らないのですが・・・
ナンバー読み取り等に用いるシステムでは,数字のみならず文字等すべての情報が認識できるようです。
学生時代に画像認識について少しかじっていた時があります。
そのとき,メーカーが開発した「ナンバー読み取りシステム・・・のようなもの」のデモを,見せていただいた時があります。
通常走行状態の車のナンバーを,正確に認識,読み取っていくを観て驚きました。
JHのことですから,当然,最高性能のものを採用していると考えているのですが。(お金はかかっても・・・)
失礼しました。

ETC 投稿者:O 投稿日: 6月24日(火)22時54分37秒

ゲートなんですが、私の親はETC導入してます。
前走車ETCで後続もETCですと、ゲートは開いたままになっているとの事です。それで、その後、バックミラーでゲートを見るとちょっとの間は開いているみたいです。
ただ、S1〜S4とかいうゲートの区分があると店の人に言われたと言っていました。
検知レベルの差だとしたら、確かに不正にゲート通過できそうな気もします。

ETCすり抜け 投稿者:B  投稿日: 6月26日(木)10時26分05秒

自分ETCつけていますが、故意ではなく結果としてすり抜けになったことあります。
前の車と車間10m位?で突入したのですが、前車が通過しゲートが閉まりかかった頃に突入状態になり、フロントウィンド直撃で通過しました(笑)もっと詰めて入っていればすり抜けは可能のような気が・・・。
車には全く傷は付いていませんのでゲートは結構やわらかい素材で出来ているのではないのでしょうか?
過去には開かなかったことも一回ありました。原因は車載器の接続部部分の接触不良でした。

(kunisawa.netより引用)

思わず苦笑してしまうほどの国沢氏の頑固さである。
T氏は詳細(数値データなど)は書いていないものの、理路整然とETCの仕組みについて分かりやすく述べているのだが、国沢氏は自身の主張を曲げようとしていない。耳を塞いでいるようにも見える。 T氏の説明で不正通行が限りなく不可能に近いということが理解できないというのは、理解力が欠如しているか、理解することを拒んでいるかのどちらかであろう。



● ETCでの不正通行防止機構

では、筆者がT氏の説明で理解したETCの動作原理を図解にて示してみよう。

ETCシステムには数多くの通信装置・センサー類がある。ETCゲート開閉用ギアードモーターを開発した松下電器のサイトのcacheを見ると、判明できるものだけでも
  1. 第一アンテナ: 車種及び観測情報の入手、入口情報(進入時刻など)
  2. 第二アンテナ:課金車種情報の提供(牽引車の有無など)
  3. センサー:進入検知、車高検知
  4. 踏み板:車軸数感知(牽引車等の課金情報補正)
がある。これにT氏からの情報も合わせると、ナンバーの高速撮影、車体長検知、車体幅検知、重量感知も行っているようである。また、下の概要図によると車両検知器はETCレーン入口、中間、出口にそれぞれ設置されている。そして当然ながらゲートバーの先に車両監視カメラがある。




ちなみにゲートバーは0.5秒で開閉するそうである。

ETCはまず車載器に登録車の情報のデーター(ナンバー、車幅、車長、牽引車か否か)を入力する。これはETC通過の際の照合データとなる。
そして実際のETCゲート通過時は、このような動作をすることになる。

(1)基本的動作原理 (別ウィンドウで表示)
  1. ETC通過の際、まずはETCレーン入口で車搭器と路側アンテナが通信を行う。そしてETCシステム側は車載器に入った車両データを読みこむ。
  2. ETCシステムはセンサーで進入した車両の車幅、車長を測定、ナンバーを読み取り、先の通信で得た車両データとの照合を行う
  3. 照合した結果、両者が一致すれば「通過可能」の表示を出し、ゲートを開く
  4. ゲートバー横のセンサーで車両通過を判定した後、ゲートを閉じる
(2)2台連続で通過(前車が牽引登録車、かつ何かを牽引している場合)
  1. ETC通過の際、まずはETCレーン入口で車載器と路側アンテナが通信を行う。そしてETCシステム側は車載器に入った車両データを読みこむ。同時に第二アンテナも稼動し、車載器に牽引車というフラグが立っているかどうかを調べる
  2. ETCシステムはセンサーで進入した車両の車幅、車長を測定、ナンバーを読み取り、通信で得た車両データとの照合を行う
  3. 照合が完了し、バーを開くまでの間に後続の車両の判定も行う。後続車両(牽引されている車両)は当然ETC車載器を積んでいないため、例外処理に入ることになる
  4. 例外処理では、ETC非搭載車(被牽引車両)の前車のデータに戻り、前車が牽引車であると登録されていれば、後続車が牽引されている車と判定する。そして車重、車軸数を測定し、料金区分を決定した後にゲートを開く
  5. 後続車(被牽引車両)が通過したらゲートを閉じる
(3)2台連続(2台共ETC車載器をつけている場合)
  1. まずはETCレーン入口で先行車の車載器と路側アンテナが通信を行う。そしてETCシステム側は車載器に入った車両データを読みこむ。
  2. ETCシステムはセンサーで進入した先行車の車幅、車長を測定、ナンバーを読み取り、通信で得た車両データとの照合を行う続いて後続車との通信・測定も開始する
  3. 先行車用にゲートが開く。後続車も照合が完了し、バーを開く指示が出る
  4. 後続車が通過し終わるまでゲートは開いたままとなる
  5. 後続車が通過したらゲートは閉じる
(4)2台連続(後続車はETC非搭載、レーン進入前からベタづけの場合)
  1. まずはETCレーン入口で車載器と路側アンテナが通信を行う。そしてETCシステム側は車載器に入った車両データを読みこむ。同時に第二アンテナも稼動し、車載器に牽引車というフラグが立っているかどうかを調べる
  2. ETCシステムはセンサーで進入した先行車の車幅、車長を測定、ナンバーを読み取り、通信で得た車両データとの照合を行う
  3. 先行車が牽引登録されていず、かつ後続車との通信が失敗したらエラー処理になる
  4. 先行車もろともゲートは開かない
(5)2台連続(後続車がETC非搭載、バーが開いた後に突入する場合)
  1. まずはETCレーン入口で先行車の車載器と路側アンテナが通信を行う。そしてETCシステム側は車載器に入った車両データを読みこむ。
  2. ETCシステムはセンサーで進入した先行車の車幅、車長を測定、ナンバーを読み取り、通信で得た車両データとの照合を行う
  3. 照合した結果、両者が一致すれば「通過可能」の表示を出し、ゲートを開く。ここで突入してきた後続車との通信を試みる
  4. 通信エラーとなり、不正通行車があると判断、先行車が通過後すぐにゲートを遮断する
このように、かなり考えられたシステムで、不正通行はやはりやりづらいと思われるのだ。



● スリップストリーム抜けは可能か?

では、上記システムにおいて、前車のために開いたゲートが閉じるまでに不正通行ができるかどうか考察してみる。

まずは上の(4)で書いているように、ETCレーン進入前から前車の後部にベタづけ(ほとんど車間をあけない状態)であれば、前車ともどもゲートは開かないので、ETCレーン進入前には前車とはある程度の距離を保っていなければならないということになる。

そして、av誌の三沢氏が見たという目撃証言では、

「ETCゲートじゃないトコロに並んでいたクルマが、ETCゲート通過車を見た途端、並んでいる列から抜け出してスリップストリーム抜けした」

そうなので、やはりETCレーン進入前からベタづけしていたような状況ではないようである。、また違反車は一般車レーンの最後尾(またはその近辺)で、並んでいたということなので停止か又は徐行に近い速度であったものと思われる。

はたしてその状態で、スリップストリーム抜けが可能かどうか、少し計算遊びをしてみることにする。

前提として下のような条件とする。ETC搭載車はETCレーン内を時速20km/hで通行し、ゲートまで10mの地点でゲートが作動した(※)。それを隣のレーンで見ていた違反車が猛然と後を追ってスリップストリーム抜けを試みたとする。そしてバーの開閉は【A:ETC車の後端がバー通過1秒後に閉鎖】【B:ETC車の後端がバー通過2秒後に閉鎖】の場合で考える。なおETCゲート開を認識した際の違反車の速度は10km/hであり、違反車のゲートまでの距離は30mであったとする( この状況であれば違反車の移動距離はレーン変更も加わるのでもう少し長いのだが、そのあたりはとりあえず無視しておく )。違反車、ETC搭載車はいずれも全長4.5mの乗用車とする。

(※)これは公団側が「ETCは80km/hでも通り抜けられるよう設計している」と言っているのと、「ゲートバーの動作速度は0,5秒」であることを根拠として仮定した値である。80km/hは約22m/sであるから、ゲートまでの距離10mでゲートが開きはじめれば何とか通り抜けられるはずである。


時速20km/hは秒速5.6m/sであるが、ここでは計算を簡略化するため、5m/sとしておく。また同様に時速10km/hも2.78m/sだが、3m/sとする。
さて、ETC装着車の後端が通過後1秒でゲートが閉じるとすれば、前走車の速度は5m/sであるからゲートとの間には5mの距離があることになり、この間ギリギリに違反車(4)が入っていればゲートを抜けられるということになる。このためには、違反車は約4秒で35m進む必要がある。

この間、違反車はアクセルべた踏みで等加速運動をしたとすれば、距離 X = 初速 Vo x 時間 t + ( (1/2) x 加速度 a x 時間 t ^ 2) であるから、

35 = 3x4 + (1/2) x ( a x 4 x 4)  で、 23 = 8a : a=2.9m/s^2 となる。ちなみに、0-100km/h加速が10秒の車の加速度は2.8m/s^2である。


そしてこの時の違反車(4)の速度は、速度 V = 初速度Vo + 加速度 a x 時間 t より、

V = 3 + 2.9 x 4 = 14.6m/s =
52.6km/hである。前車との距離50cmで、相対速度33km/hということは次の瞬間に何が起きるかは読者諸氏にはすぐにお分かりいただけるはずだ。

前車との衝突を避けるには、4秒後の速度が20km/h以下に減速されていて、かつ35mの移動を完了していなければならないといえる。仮に2秒加速(加速度a1)、2秒減速(加速度a2)とすると下のような式になる。

移動距離 35m = (vot + 1/2 a1 t^2) + ((vo +a1t)t + 1/2a2t^2)
速度 5m/s= (vo +a1t) + a2t
t=2,Vo=3

これで計算したら、a1=4.8m/s^2、a2=-3.8m/s^2となった。この加速(a1)は0-100km/hが5.8秒程度の車の加速と同等であり、かなりの高性能車でなければそんな加速はできない。では3秒加速、1秒で減速ということにすればどうなるかといえば、a1=3.9m/s^2、a2=-9.0m/s^2となる。この場合は(a2)の減速加速度が非現実的となる、この数字は日本自動車事故対策センターの試験で100km/hからのフルブレーキで40m強で停止する車なみの強烈な減速加速度なのだ(ちなみにa1も0-100km/h加速7秒というちょっとしたスポーティ車のフル加速のレベルなのだが)。これまた、かなり強力なブレーキとタイヤを装着していなくてはならない。少なくとも商用車のバンではどちらも無理である。
( 加速1秒、ブレーキ3秒は…
となると、a1の加速度はバットモービルや流星号の世界になるのは明らかなので計算はしないでおく )

では、ゲート閉までに5秒とすればどうか。まずは等加速度で考えると 35=3x5+(1/2)x(ax5x5) : a=1.6m/s^2から、V=39.6km/hである。ここで前車がまだ20km/hの一定速度で走っていたとすれば、前車との距離は5.5mで、相対速度が20km/hである。
39.6km/hは1秒間に11m進むので、この時点で定速になったとして、前車がそのまま20km/hで走行(1秒で5m)していたとしたら、1秒後には前車との距離は5+5-11=-1となり、追突することになる。ただし、前車がゲート通過後に加速を始め、かつ違反車もゲート通過後に急ブレーキを踏めば衝突は回避できるかもしれない。

ということで、
前車はゲートが開いたのを確認した後、(1)の位置から1m/s^2で加速をしたという条件にしてみる。10m先のゲートに到達する時間tは、 10=5t+1/2*1*t^2 である。t^2+10t-20=0の二次方程式を解けば、tは約1.75秒になる。この後3秒程度でゲートが閉まるとすれば、前走車の(5)、4.75秒後の速度は約35km/hである。加えてゲートからの後端の距離は10.6m。かなり余裕ができる。 この条件であれば、違反車が(2)から等速加速をしても加速度は 1.8m/S^2 ですみ、(4)の位置では41.6km/hとなり、可能性はゼロではない。

しかし、上の条件には、「スリップストリーム抜けをしようとして、ETCゲートに入る車を目視確認する時間」と「レーンを急激に変更するという操作のためのロス」は考慮していない。現実には決して無視することができないこれらの条件を入れて考えると、やはりスリップストリーム抜けは物理的にかなり困難であるということが理解できるのではないだろうか。もしできるとしても、超一流のドライバーが超高性能な車を用いて何とか可能なレベルであることは間違いないだろう。

更に公団側は、ETCシステムの正常動作通過速度として80km/hまでは動作すると述べている。ということは、レーン通過時に80km/h未満であれば不正通行防止機能が働くはずで、それはすなわちゲートを閉じるだけではなくナンバー撮影や車種情報も測定されるということであろう(ゲートの先に車両監視カメラがあるのはゲート強行突破の証拠写真撮影のためでもあると筆者は考えるのだが)。そして上の計算遊びでも分かるように、ETCレーンをいくら猛スピードで抜けようとしても、前車がゲートにて急加速でもしない限り追突は必至であろう。

こういう点も考えると、スリップストリーム抜けをするのはあまりにリスクが高すぎる。試すバカはいるかもしれないが、常習犯がいるとは筆者には思えないのである。


● スリップストリーム抜けに見える挙動の考察

では、いったい読者の方や三沢氏が「スリップストリーム抜け」に見えてしまった車の挙動は何であったのか。

いくつか可能性を考えれば、ETC・一般兼用のレーンに並んでいた人が、ETC専用レーンに気が付いて慌ててそちらへ行ったとか、ETC及び一般に共通の列が長くてETC専用レーンの方にいけなかったが、
路側帯を走ってETCレーンに入っていく車を見てハッと気がついて自分もと追いかけたとか、そういう理由の方があり得るのではあるまいか。

読者の目撃証言は、単に「気が付いたら後ろから猛スピードで近づいてきた」というだけのことなので、自車は20km/hで通過し、先も(恐らく)一般道なのだから加速もしなかったが、後車は減速もほとんどせず50km/hくらいで突っ込んできたら、当然そう感じるはずである。

次に三沢氏の例だが、これは錦糸町料金所の構成を考慮する必要があるだろう。まずは首都高速道路錦糸町料金所付近の地図を見てみる。ここには京葉道路から首都高速へ入るレーンに加え、一般道から首都高速へ入るレーンも存在する。一般道からのレーンと料金所との距離は200mほどという短い距離のようであり、錦糸町のETCレーンはこのように左右の端に分かれている

ということは、以下のような現象が発生することが大いにあり得るのではないか。

  

(ア) もし、一般道からあがってきた(入口から来た)ETC車載器設置車(青色の(a))が、料金所直後の混雑を避け、かっとばしたい場合は、左端のETC(1)ではなく右端のETC(5)のETC専用レーンを目指すことになる。なぜなら(1)では、(2)〜(4)の車と車線を奪い合うことになりかねないので。

(イ) しかし、入口から直接(5)を目指していると、京葉道路からのETC搭載車(オレンジ色)が、かなりの速度で突っ込んでくることもあるはずである。
そこで、オレンジの車が速い?と判断したら、いったん一般車の列である(4)の後ろについたような形の位置 (b) で様子をうかがい、

(ウ) 京葉道路からのETC搭載車が通過したら(4)から(5)へすばやく移動して ((d)) ETCゲートを通過し、

(エ) そのまま、ここでは書けない速度で突っ走る(e)、という行動をとるかもしれない。

この時、オレンジの車(ETCに慣れていない)が律儀にETCゲート内でかなり速度を落とし、20km/h以下になってしまったら、青の車(ETCに慣れている)の速度のほうが速いので、レーン内にてオレンジの車のすぐ後方で煽っているような形になる。

それを例えば(3)の列の最後尾あたりで(イ)〜(ウ)を見ていたら、「青い車がオレンジの車がETCレーンに入っているのを確認してから猛スピードでETCレーンに突入し、前の車にベタづけして通過してしまった」と映るのではないか。

また、別の仮定であるが、
錦糸町においては(1)のレーンはETC/一般の共用レーンであるようだ。ということは、(1)に行こうか(5)に行こうか様子をうかがいながら(2)〜(4)の列の最後尾に紛れ込んで、(1)のレーンに一般車が進入したのを見て「あ、こりゃ(5)の方が速いわ」と判断するも、後続の(5)に進入する車がが速く、一旦やり過ごしたあと(5)に突然移動した、というケースもまた考えられる。

もちろんこれらは仮定であるが、「一般車の後ろに並んで、ETC車の後に違法通過をしようと待つ」という行動を常習のようにやっている人間がいる」という理論よりは可能性があると思うのだが、読者諸氏はいかがお考えになるだろうか。


● だって、私は見たんです!

この件に関しては、国沢氏サイドには重大な弱点がある。 曖昧な目撃証言はあるが、
実際にスリップストリーム抜けをしたという当人の証言が皆無な点である。

このような証言がkunisawa.netにないのは当然としても、悪名高い2ちゃんねるですらそのような話はない。最初の疑い的な証言は昨年の8月なのであるから、常習犯がいたりすれば、発言する者がいるはずである。
「実際にやってる奴がそんなことを公言するはずがない」という反論があるかもしれないが、これはあまりにも子供じみた反論であろう。

ETC抜け不可能サイドは理論で説明しているのだから、理論で反論しなければ意味がない。 T氏も何度も言っているが、スリップストリーム抜けのように見えるのは、ETCの連続通過にすぎないということである。これに対しては、明確に「やった」という証言でなければ対抗できない。なぜなら、スリップストリーム抜けを見たという人は、
「その車の挙動が不信だった」というのが根拠であって、該当車両において車載器の有無を確認できたたわけではないのだ。

つまり、国沢氏が挙げた2例の目撃証言は、例えば隣国の宣伝用大型の気球が偏西風に乗って日本にまで飛んで来てしまったのを見て、「変なものが空を飛んでいるのを見た」というところを、「プレアデス星団から来たモンゲラ星人の乗ったUFOが飛んでいるのを見た」というようなものであるし、ネズミを飲み込んで胴体が太くなったマムシを見て「俺はツチノコを見た!」と騒いでいるようなものでもある。
見た側の思い込みが反映されすぎているので、信頼性に欠けるのである。

● 結局何が言いたいのか

筆者には、なぜ国沢氏がこうも頑強なまでに「ETCでの不正通行は可能である」と主張し続けるか分からないのだ。国沢氏が根拠としているのも、国沢氏自身が見た目撃証言ではない。そしてその目撃証言も、確実な事象は

(1) ETCレーンを通過したら後ろの車が速い速度でETCレーンを通過してきてあおられた
(2) ETCレーン以外のところにいた車が突然車線変更してETCレーンに入っていった

この2つである。これだけをもって「ETCの不正通行の常習犯がいる」と決めつけるのは、あまりに根拠が希薄でかつ思慮が浅い。そういえば、氏は以前もご自身が経験した2例のチャイルドシート設置車のドア接触トラブルを「急増中!」としてAll About Japanに記事を書いておられたが、国沢氏はどうやら針小棒大の記事を書かれる悪癖を持っておられるようだ。

恐らくご自信は読者のために問題提起をしていると思っているのであろうし、悪意があるわけでもなかろうが、その問題提起が「読者のため」と思いこんでいるがゆえに、それを否定されることは彼自身を否定されるものだと思いこんで、頑強なまでに異論を認めなくなってしまうのではあるまいか。

いったんこうなってしまっては、もう本当にインチキ科学かUFO、オカルトの世界に突入してしまう。

米軍のB-2爆撃機を代表とした試作機を研究していたエリア51?がいい例である。 ステルス機はその形状が重要なので、人目に触れさせてはいけないものだ。 しかしたまたま目撃されると、その奇怪な形状から「ブーメランの形をしたものが飛んでいた」と証言される。垂直尾翼もないので、普通に見かける飛行機ではなかった、との情報も加わる。 するとこれが「ブーメラン型UFOを開発し飛行試験をしている」となる。 また、新型の低騒音ローターを使用したヘリコプターを見ても「音がしない。あれは反重力で飛んでいる偽装ヘリだ」になり、 X-31をはじめとした高機動試験機の飛行試験を見ても「飛行機の動きではない。UFOの空間移動技術を使っているに違いない」。 あげく取材しようとして、「ノーコメント」を貫かれたら、「やはり軍とNASAは重大な秘密を隠しているに違いない」
極めつけにその後、街でたまたま会ったサングラスをかけた男を見て(当然視線は見えていないのに)「サングラスの男がこちらをじっと見ていた。あれが噂のMIBに違いない。UFOの秘密を知った俺をマークしているんだ」
そしてB-2が公表されて秘密が明かされても、「違う。B-2はカムフラージュだ。本当はUFOを開発していたはずだ」・・・
このように妄想は果てしない彼方まで行ってしまうのである。

● 実はわざとでした

UFOブームも去った頃、矢追純一氏がある著作を出した。「カラスの死骸はなぜ見あたらないのか―あなたの常識がひっくり返る本」 (ISBN-4309491499)である。この本で氏は「カラスの死骸を見たことがない。これは
カラスは死んだら瞬時に消滅して異次元にいくからだ」と書いていた。
筆者は「あなた絶対これわざとでしょ!」と思わずにいられなかった。(筆者はその前に同氏のTVのUFO特集での、ナチスドイツのUFOの底にIV号戦車?の砲塔が上下逆についている合成写真?を見た時点で腹が捩れるほど笑わせていただいたのだが) 
矢追氏の名誉のために言っておくと、先を読み進めば、カラスの話は単なるアイキャッチであることが更に分かるようになっていて、主題は「常識を疑え」とか「柔軟に考えろ」といった内容なのだ。

実は、筆者は当節のETCの件については、国沢氏は内心「(架空と)分かっていてわざと問題のように騒ぐことにより更に大きな問題提起をしようとしている」と思いたい。 でなければ、T氏に完膚なきまでに理論的に論破されているのに食い下がるほどの確信的反発は理解できないのだ。
そして少しほとぼりが醒めた頃、「いいかげん俺のエンターテイメントに騙されるなよ」というメッセージを込めた(!?)トンデモ記事を書いてくれるのではないかと期待しているのである。騙される読者の方が悪いと思えるほどの強烈な記事を。

もしそうなれば、筆者は国沢氏のウィットを素直に誉めたたえることにしよう。

しかしそのトンデモ記事が故意に書かれた冗談ではなく本気であったとしたら? 
そのうち国沢氏は猫形宇宙人エルバッキーと会ったり、パソコンのFDドライブに写真を突っ込んでデータを読み込ませるようになるかもしれない・・・。

いやまあそれはそれで見てみたい気もするのだが。

追伸 : カラスはねぐら近くで死に、死骸は仲間などが食べてしまったりするのでもともと人目にはつきにくいものなのである。
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