6−4(2) マツダは帰ってきたが、日産と三菱は依然として遠い

● 国際企業

一時、筆者の勤務していた会社は外資系企業と密接に提携していた。

その日本法人の社長こそ日本人であったものの、技術資料は全て英語、海外から誰か来た場合の会議やセミナーも英語(通訳なし)。何か問題があれば本社(USA)に直接コンタクトする必要があり、当然英語(電話でもE-Mailでも)である。

しかし英語がからっきし苦手であった筆者でも、その場に置かれれば相手が何を言っているか理解できるようになるし、英語でのジョークも分かるようになってくる。 外国人も、相手がどの程度の語学力かはすぐに分かるので、できるだけ単語だけ、またはジェスチャーも交えて話してくれるので、筆者の経験としては相互理解不足で物分れになったようなことはない。(意見の対立などは数知れずあるが)

であるから、英語ができないので仕事ができないという言い訳をしている人物に対しては、個人的には微妙に不快感を生じる。もっとも筆者の周囲はTOEIC900点級がゴロゴロいたので、いざという時は助け船を出してもらえていたのであるが。

● マツダが帰って来た

この件に関しては、深く考えても真実はうかがい知れない事柄であるし、ともすると憶測だけで批判してしまいかねないので、考察するポイントをかなり絞ってある。ご了承願いたい。

8月28日 

昨日の昼過ぎ、マツダの社長が替わったことを聞いた。本当に驚いた。ブース社長は今までフォードから来ていた人の中では最も日本の文化に合った温厚な方で、何ら問題無く長期政権になると思っていたのだが。それだけマツダの財政が盤石になり、逆に欧州フォードの建て直しは危機的だということなのだろう
参考までに書いておくと、欧州フォードはマツダからの技術導入に対し激しく抵抗している最中(今や欧州フォードは押し切られ気味ですが)。これも欧州フォード再建のためのハードルになっている。ブースさんが行けば、フォードグループに於けるマツダのポジショニングは一段と高くなるに違いない。井巻新社長だが、TVで見て怖い感じを受けた方もいるだろう。ビーンボールを投げれば猛烈に反発するも、しっかりした球を投げればしっかり受け止めてくれる方である。挨拶がもう少し短くなれば100点(内輪ネタです)。これでモータースポーツにカムバックしようものなら大バンザイだ。とりあえずデミオでJWRCなどいかがか? 何だかやっとマツダが帰ってきた感じで嬉しい。

8月29日 

帰ってきたマツダと対照的に、日産と三菱は依然として遠い。
なかでも遠さを感じるのが日産である。
企業の広報というのは会社の「顔」だ一方、私たちの仕事はユーザーの代表みたいな位置づけ。なのに日産の広報部長は日本語でコミニュケーション出来ず(英語が出来ない私の戯言という声もあります)。外国の方でもいいけれど、最低でも商売する国の言語を理解すべきじゃなかろうか。100歩譲って、文化を理解すべきだろう。

三菱の広報部長は日本人なのでしっかりコミニュケーション出来るものの、社長が日本を理解しきれていないように思う。日本はヨーロッパじゃない。なのにヨーロッパのスタイルで商売しようとしているのだ。もう少し日本人の意見を聞くべきだろう。日産も三菱もやがて帰ってくるだろうけれど、しばらく掛かりそうです。

(kunisawa.netより引用)
● 大企業の広報部

国沢氏の上の発言に関し、筆者が個人的に何とも違和感を覚えるのは、「広報部は会社の顔だから日本人でなければダメだ」という点である。

国沢氏は自ら「ユーザー代表」と言っておられ、「日本のユーザー代表として、メーカーの広報に意見を述べねばならないため、意志の疎通がとれるよう広報は日本語ができなくてはダメだ」ということである。

確かにそれは一理あるが、日産は既にれっきとした国際企業である。 米国、英国その他に工場を持ち、その国独自の車種も生産・販売を行っている。 その会社の本社広報部なのであるから、国際的色合いがある方が自然である。 それに国内向けはちゃんと広報も国内担当がいるわけであるし、そちらは日本語がしゃべれるはずであるからさほどの問題があるとは思えない。国内専用企業であれば日本語必須というのも分かるが…。

加えて、
彼は輸入車に関してユーザー代表として何か行動をしているのかという疑問が生じる。 かつて一例だけあったのは、2001年の東京モーターショーに訪れたフォードの副社長に「日本人はフォードは技術力が低いというイメージを持っている」と切り出したというのは以前も書いておられたが、これは国沢氏自身がユーザー代表として直接英語でコミュニケーションをとったのであろうか?(加えて、疑問があるならディアボーンまで来いと言われたはずだが、ユーザー代表として尋ねて行ったという彼からの報告はまだないのだが)

コミュニケーションをとる基本中の基本として、相手にばかり何かを強制してはいけない。それは双方向の融和を妨げ、一方的な意見になりさがってしまう。
「歩み寄る」という姿勢がない限り、円滑なコミュニケーションなど生まれようもないのではあるまいか。

国沢氏は、相手に何かを求めているだけで、自分は何もしようとしていない(英語を習うなど)。これではよい結果は生まれようもないであろう。

● 疑われる要素

しかし、国沢氏の英語に関する拒絶反応はたいした問題ではない。

このTOPにて国沢氏が2ちゃんねるで叩かれている主たる原因はただ1つ。
日産と三菱に対する批判対象が曖昧すぎるという点である。 「日本語をしゃべれ」はともかくとして、「文化を理解しろ」というのが何とも怪しい言い回しなのだ。

なるほど、これは一見「そうか、日本人とは考え方に相容れない部分があるのだな」と納得させられそうな文であるが、逆に言えば具体性にまったく欠け、ただのいちゃもんにとらえられかねない。

国沢氏はかつてこれと似たようなことを行っている。筆者も小ページにて考察しているのだが、お分かりになるだろうか。 そう、3-5 「削除しないと訴えます」である。 この時も「事実と違う点があるので削除しないと訴える」と言い、「何がだめなのか教えろ」という質問には答えなかった。また参考として掲載した掲示板の過去ログにおいても、何が名誉毀損にあたるのかとの問いに「これは捜査上の都合で教えられない」と返答するだけであった。

再度書くが、このやり口は単純なゆすりのテクニックで、
故意に非難(糾弾)の焦点をぼかして手元にカードを置こうとする姑息なやり方である。

読者が抱くであろう国沢氏のTOPでの不快感はここにある。 「文化を知らない」とか「日本での商売のやり方をしていない」などと批判していると、

「あー、交際費削減でCOTYへ向けた評論家への接待を控えてるので、それを非難してるだけか」

と勘ぐられてもしかたが無いのである。実際の噂においても自動車評論家のメーカーに対する接待要求はかなりのものがあると噂されているし、実際、国沢氏もかなり危うい発言をしている。それは2年前のTOP記事である。
2001年8月30日

いつもは夏休み明けから賑やかになるカーオブザイヤーながら、今年はマツダとスバルの新型車無し。三菱もエアトレックしかなく、事実上トヨタと日産、ホンダの3メーカーしか有力候補が見当たらない。さらに日産の広報部長は自動車雑誌より一般誌好きらしく、あまり業界のお祭りであるカーオブザイヤーに興味ないそうな。こうなるとトヨタとホンダにとっちゃ大チャンス! 特に大ヒットとなったフィットは有利である。対するトヨタはエスティマ・ハイブリッドが候補。これまた技術のデパートのようで魅力的だ。ということで今年はエスティマ・ハイブリッドとフィットのイッキ討ちになるんじゃなかろうか。個人的にはお祭り好きだった往年の日産が戻ってきたら嬉しく思う。やっぱりお祭り好きの三菱とマツダは来年頑張って欲しい。

(kunisawa.netより引用)
時期的に、上の発言と一致するのが筆者ならずともかなりひっかかる点であろう。

この内容は、「業界のお祭りに日産も三菱もマツダも参加してくれ」ということであるが、では一体COTYを狙うためにはメーカーは一体何をしているのかといえば、これはもうここに書くまでもないことであろう。自動車評論家諸氏が自らのWEB日記で赤裸々に語っておられるのだから…。

そして、2003年8月26〜27日、29〜31日、国沢氏はBC誌やCT誌の編集長らと北海道にいた。これは恐らくCOTY狙いのためのどこかのメーカーの接待であろう(26日の日記などでは旭川でH社のI氏と夜の町へ繰り出したような記述まである)。


● 曖昧に批判しないこと

このように国沢氏は「疑われるような発言」があまりにも多すぎる。

何が駄目で、何をどうすれば日産のためにいいのか、ユーザーは何を望んでいるか、等をどう伝えようとして、それがどう失敗したので日産の広報は駄目だ、などと、具体的なことを1つでも書けば、上のような「接待の無心じゃないか」といった下衆の勘ぐりなど生まれないのである。

さて、ところで国沢氏はかつて日産広報部の部長就任にあたって以下のように述べていた。
2002年5月24日

10時に家を出て日産の新しい広報部長主催の昼食会。驚くことにフランス人である! 広報というのはメーカーの顔。ワタシらユーザー側と、どうやって意思の疎通をするつもりなのだろうか? 通訳を通して? それともユーザー側に英語力を要求する? 商売をするバアイ、一般儀礼としてアメリカなら英語を。イタリアならイタリア語、中国なら中国語を少なくとも日常会話レベルでこなせるスタッフを配す。やむをえず英語しか出来ない社員を駐在させ、英語が出来る現地のスタッフを雇うのは、あまり戦略的に重要でないマーケットくらい。なのに日産にとって本拠地である日本の広報部長が英語とフランス語(イタリア語もイケるらしいが、この際関係ない)しか使えないと言う。
ま、この業界は仕事の内容が重要。言葉など関係ないか? 日産のために頑張って下さい。

(kunisawa.netより引用)
かつては自ら「言語など関係なく、仕事の内容が重要」と述べているのに、1年経つと掌を返すように「最低でも日本語ができないと駄目」となっているのは何故であろうか?

この間、日産の広報部(長)と何かがあったのか?という疑念は生じるが、もちろんそのような事象があったかどうかを含め、その内容は当事者しか知らないことではある。


● 更に

と、ここまで8月末に草案を書いたところで、またしても国沢氏は三菱を批判してしまった。
9月6日

三菱の業績が悪い。
三菱社内でもエクロート社長の舵取りに異論を唱える人が多数いるそうな。今年唯一の新型車であるグランディスも失速してしまった。全く新しい価値観で勝負しようとしている次期型オデッセイがデビューすると、日産のプレサージュ共々一段と厳しい状況に追い込まれてしまうかもしれない。ちなみに次期型オデッセイはアコードワゴンよりリーズナブルな価格設定で、従来型オデッセイより広い室内スペースを確保している、といわれる(というか”いる”と書いておきます)。車高あるミニバンがイッキに古臭い感じてしまうくらいのパワーがある”らしい”。本来なら売れ筋であるコルトの売れ行きもメチャクチャ厳しい。ライフやワゴンRといった軽自動車が出てくれば、3速ATのeKワゴンも辛いだろう。お願いだからエクロート社長は日本人の言うことを聞いて欲しいと思う。ブーレーさんも、三菱のデザイナーの意見を聞いて下さい!

(kunisawa.netより引用)
三菱批判なのかオデッセイ賛美なのか分からない記載であるが(苦笑)、これまた曖昧な批判である。

会社組織は社長が変わったからといって、すぐにドラスティックに変わるというものでもない。ましてや大企業であればなおさらである。エクロート社長は就任してまだ1年強しか経っていないため、まだまだ社内の構造改革の最中であるし、社内でも社長に対する不満はまだまだ出る時期である。

おまけに、三菱は「魅力的車が無くて」低迷していた日産・マツダに比べて、主に不祥事によって低迷してしまったのであるから、両者に比べて回復が遅れるのはあたりまえといえる。


そしてここも、「どういう点においてエクロート社長の方針が駄目なのか」という具体的事象が出ていない。もししかるべき人物に取材できたのであれば、「従来は戦略的に〜であったが、新社長は〜という方針であり〜」等という具体的内容が記述されて当然である。それが、何も無い。

国沢氏のTOPはこの程度の取材で得た程度の情報にすぎないのではあるまいか。
というか、国沢氏の情報ソースは三菱の平社員クラスであるとしか思えない文章なのである。
国沢氏:「(三菱の広報担当者に)最近はどうですか?」
三菱:「いやあ、まだまだ厳しいです」
国沢氏「社長が変わって、やっぱり社内は変わりましたか?」
三菱「うーん、やっぱ社内の制度も雰囲気もがらりと変わってしまいましたねえ」
国沢氏「不満も出てるんじゃないですか?」
三菱「そうですね、以前を懐かしむ人は多いですよ。でもここで頑張らなきゃいけませんからね」

まさに酒飲みの席での愚痴程度の情報でしかない。

もし国沢氏が自らの情報の信憑性を高めたいと思うならば、提供してもよい範囲内で具体的な情報を開示するしかないのである。それがなければ、この批判は誰にでもできる程度の、子供騙しの駄文にすぎない。

もちろん、取材もせずに「〜にちがいない」と決め付けての記述であれば、論外であることは言うまでもない。よもやジャーナリストと標榜している人物がそのようなことはしないと思うが。


いずれにせよ、もはや現在はあらゆる分野においても、相手が外国人だから駄目という考えは、(自らの)力量不足を暴露しているにすぎず、「具体的にどうだから駄目か」を示さなければならなくなっているのである。

とりあえず国沢氏がやるべきは、英会話スクールでも通信教育でもいいから英語を習うことであろう。
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