6−5 友人には絶対すすめませんが、30代のBC読者には勧めます (2003年3月) これも6−4同様、「以前ご自身が書かれたことを見返す」というごく単純かつあたりまえのことを怠ったために起こった小失敗である。厳密には全てWEB上で起こったことではないので、小ページの主旨とは少々違うのだが、多少の脱線として許されたい。 国沢氏は結構こういうミスは多いのだが、筆者の記憶にある最大のものはVWルポである。ルポが発表され、正式に輸入される前に国沢氏はaf誌にて以下の記事を書いた。 |
世界的規模でコンパクトカーの人気が高まっているらしい。となると負けちゃいられないのが小型車を大得意とするVWである。つい3年前にゴルフより
一回りコンパクトなポロを出したと思ったら、早くもベンツAクラスに対抗する『ルポ』なる新型車を発表してきたのだった。価格的にもポロより安いのは確実。日本で販売するとしたら、130万円前後になる可能性大。ここまで安いと、ドレスアップも気軽に出来るというモノ。早速紹介してみよう。 (中略) スタイルは激しくイケてない、と思う。妙にウーパールーパーちっくなフロントマスクがアカンのだろう。VWのプレスリリースによれば「表情豊かで親しみやすい外観」と表現されているけれど、凝りすぎ。VWはポロのようにカッチリしたエクステリアが似合うんじゃなかろうか。ルポみたいなデザインって、フォードやオペル的。ま、afを読んでるようなヒトだったら、即刻モディファイを考えるでしょう。ワタシなら絶対顔を変える! (kunisawa.netより引用) |
そしてルポが正式に輸入され始め、国沢氏とVWジャパンの広報との親密さが日記でうかがえるようになったある日、ベストカーにて「なぜVWは絶好調なのか?」という特集があった。(何年の何号かは失念した。ご勘弁願いたい) そこで国沢氏は「ルポ対ヴィッツ」の比較記事を担当していた。その最後に書かれた文言は以下のようなものであった。 ルポのスタイルが気に入れば買いだろう。個人的には好きです。 別の雑誌の記事(kunisawa.net内の記事)とは正反対の内容である。この変わり身の原因は、その記事とタイアップしているVWジャパンの顔色をうかがったためと見るのが自然だろう。実物を見たら好きになった可能性も否定はできないのだが。 そして国沢氏はまたそれをやってしまったのだ。まずは2001年1月〜4月に、国沢氏がご自身のページに載せたスズキ エリオの記事を引用しよう。 |
1月30日 朝6時に起きて大磯へ。スズキ・エリオの試乗会。箱根ターンパイクは積雪のため通行止め。残念ながらシビックやランクス/アレックスのライバルになるような仕上がりではない。聞けば「ワゴンRから他に乗り換えるユーザーを少しでも引き留められれば良いというのが狙いなんです」という。つまり普通のユーザーは対象にしてないということ。それなら納得。(略) (kunisawa.netの日記より引用) |
このクラス、激戦区である。強豪シビックがど〜んと存在。価格コンシャスのユーザーは、衝突安全性の低さを気にしなければデミオというメチャ安モデルも選択可能。さらに絶好調のトヨタからはランクス/アレックスという新型車まで出てきた。果たしてスズキに勝算ありや?
その点、開発担当者に聞いてみた。すると意外な答え。曰く「シビックやランクスなどと勝負するつもりはありません。ワゴンRからの乗り換えユーザーを少しでも逃がさないようにするのが狙い。ですから目標台数も2千台くらいに設定しています」。 う〜ん! 二つの点で驚いた。 (中略) 二つ目が「2千台で利益を上げられる」という技術力。正確に言えば輸出分もあるだろうけれど、それを含めても4千台くらいか? 年間生産台数5万台のために1車種を立ち上げられるというのは、逆の意味で凄い技術だと思う。カローラなんて月間5万台だもの(しかもセダンのみで)。 その代わり、仕上がりという点で厳しいだろうことは容易に想像出来る。だってそうでしょ。トヨタやホンダが総力をつぎ込んで開発したクルマと同等の完成度だったら大変です。 その予想は走り出した瞬間「当たり」だと思った。試乗会場だったホテルの駐車場から、ハンドル切って国道1号線に出ると、すでに違和感タップリなのだ。具体的に書く。ハンドル切って曲がった後は、クルマが勝手にハンドルをセンターに戻そうとする特性を持たせる。手を離しても直進状態になると思う。その特性。もちろんワザとそうなるように設計されたもの。 このクルマ、そいつが強く出来過ぎるのだ。グワッと戻ろうとする。しかも操舵力そのものが不自然。後で聞くと、燃費をよくするため特殊なパワステを使っているという。シビックもカローラも燃費向上のため電動パワステを使う。こいつは電動でないものの、油圧のまま抵抗を減らしているそうな。ただ新技術の開発というのはお金と時間が掛かる。やっぱり煮詰め切れていないな、と感じた。 ま、スズキの軽自動車から乗り換えたユーザーなら気にならないかもしれない(スズキは軽自動車もやや違和感あるステアリングフィール)。 乗り心地もイマイチ。おそらくロールオーバーしないように、という安全策なんだろうが、あまりに堅すぎる。ホンダやトヨタは「ロールオーバーしないだけでなく乗り心地も重視」という開発目標を立てた。これ、実現は難しい。ブッシュやダンパー、そしてサスペンションのアライメントなど微妙に絡んでいるから。 机上の計算(おっと最近はコンピュータですね)だけでなく、試作モデルをたくさん作らねばならないワケ。エリオの場合、そこまでお金を掛けられなかったに違いない。とりあえず安全性を最優先した。だから乗り心地が二の次になってしまったんだと思う。 エンジンやミッションは「十分に実用性あるも、質感の評価になると厳しい」。これまたコストの問題か? ザラついた回り方をするエンジンはムカシながらの日本車。ミッションもあまり感心せず、そればかりかギアの音まで車内に入ってくる。 これでシビックやカローラよりウンと安ければ納得出来るのだが、そうでもない。ただエリオの開発目標は「毎月2万台前後売れるワゴンRから上級移行するユーザーの10%くらい取れればいい」という内容だった。それならこのくらいで十分かもしれないな。スズキファンのためのクルマです。 (kunisawa.netより引用) |
そして、掲示板でエリオに関して質問をした方がいた。それに対しての国沢氏の回答は、エリオを酷評するものだった。 |
No.7374 エリオの評価をお聞きしたいのですが ビオラ 2001年04月23日(月) 15時28分 2度目の書き込みです。 メンバー制度になったようなので、サポートチームの皆様、私も登録していただきますようお願いいたします。 さて、現在新車購入を検討しています。 1500CC以下の5ドアハッチバックを考えているのですが、シビック、ランクス/アレックス、 エリオを試乗してみましたが、なかなか結論が出ません。 シビックはIEに乗りましたが、CVTのスムーズさとフラットフロアで広い室内はとても気に入りました。 ランクスはシビックに比べると室内が少々タイトな感じなのと、荷室が狭いのが気になりました。 そして、エリオなのですが非常に静かで、シビックほどではないのですが室内も天井の高さが効いているのか、 思った以上に開放感がありました。荷室も広く、荷室の下の小物入れはかなり使えそうでした。 エリオXの標準装備は充実しており、同じ装備を他車に求めると20万くらい高くなってしまいます。 燃費も満足いく数値が出ています。 今回で5代目の愛車になるのですが・・・・・ 国沢先生のエリオの評価はシビック、ランクス/アレックスのレベルではないとのことでしたがどのような点で問題があるのでしょうか是非とも参考にしたいので、国沢先生、またメンバーの皆様のご意見をお聞きしたいのです。 よろしくお願いします。 No.7375 友人には絶対すすめませんが 国沢光宏 2001年04月23日(月) 16時38分 欲しいならエリオでいいんじゃないでしょうか。 原稿に書いたとおりで、良いクルマではないと思います。 No.7376 あの座談会によると・・・・ トルク・ハンドリン具ナッツ 2001年04月23日(月) 18時41分 今月(5月号)のMagXによるとエリオは「ついに軽を卒業しました」と好評価でした。 同じく、ランクス・アレックスについても評価されているので、一読ください。 雑誌や評論家の評価はまあ所詮他人の評価(笑)なので、それぞれデイラーにたのんで30分以上試乗してみて決められてはいかがでしょうか? 個人的にはこの2車よりもフォード「フォーカス」のほうが50倍よいと思いますが・・(←これ無視してください)。 (この書き込みは何故か削除された) No.xxxx xxxxx twingo 2001年x月x日 僕もそろそろtwingoからの乗り換えに、 デミオとエリオを考えています。 国沢さんは、 >友人には絶対すすめませんが >良いクルマではないと思います。 と言いきっているので、なんか心配になります。 何がどう悪いんですか?欠陥でもあるのかな? 簡単でいいので教えて欲しいです。 あっ、それから登録希望します。 後回しになってすいません。 No.7398 どうしてそうなるのか判りませんが 国沢光宏 2001年04月24日(火) 01時51分 すすめないイコール欠陥がある、というのは凄い飛躍ですね。 もし欠陥があるならワタシは遠慮せずに書きます。 単に仕上がりや質感が低いだけです。参考までに試乗記をアップしておきました。 トップから入って下さいませ。 (この後、twingo氏はアクセス拒否となった) (2ちゃんねる過去ログより引用) |
さて2003年2月、エリオに1800ccのグレードが追加された。そしてBC 2003年4月10日号 226ページ、 「国沢光宏のベストカーを探せ」コーナーにて、国沢氏はエリオをヨイショしているのである。 これはほぼ間違いなくスズキとタイアップした広告記事なのであるが、先の1500ccの批評とのあまりの違いに筆者は思わず笑ってしまった。 |
その1 ゆとりが大切だからクルマは快適性が欠かせないよね ビンビン走ればそれでOK.多少乗り心地が悪くたって、うるさくたって関係なし!なんて20代の走り屋さんたちとはちょっと違い、2人の生活を充実させたいと考える30代夫婦となれば、クルマにだって”ゆとり”が欲しくなるんだよね。 (中略) その点、今度のエリオは1800ccのDOHC 16バルブVVTエンジンを搭載。出力&トルクともに大幅にアップし、余裕の走りで室内の静粛性も向上。快適な乗り心地の足回りにも磨きがかかったって感じだ。 国沢先生いわく「このエリオは本格派だからね!」と言わしめるほどで… (略) その3 こだわりの年代だから走りの良さにもこだわりたい 大人でも、やっぱりクルマは走りが良くなきゃつまらない。 (中略) ステアリングには路面情報もしっかり伝わる心地よさがあり、クルマ好きを十分満足させる足を備えている。 テストコースでの試乗に国沢先生も、「次はラリーに挑戦するとかって企画がいいんじゃない?」なんて言い出すほどだ。 (足回りがシッカリしてるからマジな走りも十分に楽しめるのだ) (略) 結論 スズキ エリオは間違いなく30代のベストカーだ 国沢先生のアドバイスに耳を傾けながら細部を検証すると、スズキ・エリオは30代夫婦のベストカーの1台と確信できた。 パッケージの確かさによる使い勝手の良さに加え、1800ccエンジンの余裕の走り。そして疲れ知らずの室内とトータル品質の高さが感じられる。 (略) (ベストカー 2003年4月10日号 226-227ページより引用) |
一応、こういうこともあるかもしれないので書いておくが ・最初の試乗車のコンディションが劣悪だった可能性あり ・マイナーチェンジでかなり良くなった可能性あり ・1800ccは1500ccとはまるで別物に生まれ変わった可能性あり ・この記事は編集部が書いたもので国沢氏ではない 筆者はエリオに試乗したことはないので、これ以上は筆者は何も言うつもりはない。読者諸氏でご判断願いたい。最後に、国沢氏の日記の一部を引用しておく。 |
2001年6月20日 (略) インターネット時代を迎え、匿名性に乗じて無責任な発言するような卑怯者も増えることだろう(仕事もせず一人で10人分くらいの書き込みをする黄昏野郎も多い)。マスコミはオタンコ役人や卑怯者の意見など無視すべき。これからは自分の信念を持って正義を貫くしかない。逆に自分の信念が世の中から支持されなくなったら、ジャーナリスト(当然ながらワタシを含む)も猛省すべき。新型車はとりあえずホメ、売れなくなったらケナすようなヒョウロンは絶対にすまい! 逆に新型車であってもダメだと思ったらダメ。良いと思えば手放しでホメます。 などと、今日は再び自分に活を入れる! もちろん信頼できる方からの御意見や情報、アドバイスは大歓迎です。 2003年2月6日 台場の潮風公園でミニバンフレックスの取材。ストリームvsウイッシュという企画なのだが、非常に難しい結論になりそう。ストリームも決して悪くないのだけれど、ユーザーの立場から見ればウィッシュ優勢。かといってホンダの先進性も評価しなければならぬ。ただワタシの場合、ユーザー側に立つかメーカー側に立つかという二者択一になったら迷わぬ。それしかワタシの存在意義はないと思っているからだ。よく「国沢はホンダ派」とか「スバル派」とウワサされるけれど、そら違う。ユーザーにとって良いクルマを作っている限り、正当に支持したいだけ。どのメーカーであっても良いモノは良いのだから。 (kunisawa.netより引用) |
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